【UE5の話題作】Unreal Engine 5で開発が進められている最新ゲーム
ゲーム開発と3DCG製作で比類なき性能を発揮するUnreal Engine 5は、今後ゲームがグラフィック面で飛躍的な進化を遂げるためのカギとなる重要なツール。
本特集では、このUE5を用いて開発が進められている注目ゲームをご紹介していくぞ。
Unreal Engine 5
Unreal Engine 5 (略称UE5)は、2022/4/6に正式リリースされたEpic Gamesの3DCGツール。
本体は「Epic Games Launcher」経由で無料ダウンロードが可能。
個人や企業を問わず利用でき、商業利用時には作品の売り上げが100万ドルを超えた場合に、5%のロイヤリティをEpic Gamesに支払うことになる。
新機能LumenとNanite
Unreal Engine 5の新機能として突出しているのは、LumenとNaniteの2項目。
Lumenはリアルタイムグローバルイルミネーションシステム。今まで以上に自然なライティング環境の変化に対応できる点が特徴だ。
Lumen を利用することで、ライトマップUVの作成やライトマップベイクの待ち時間、反射キャプチャの配置が不要となり、製作者は大幅な作業時間短縮の恩恵を受ける。
ライトを作成・編集するだけで、最終的なライティングを即確認できるという点もポイントだ。
もう一つの新機能Naniteは、仮想化マイクロポリゴンジオメトリシステム。
これは高密度なジオメトリをレンダリングするための新たなアプローチ方法で、リアルタイムレンダリングの大規模な環境作成を可能にする。
数百万レベルのポリゴンを数百万個配置しても、リアルタイムのフレームを維持してくれる点が魅力だ。
作業時間短縮と高品質グラフィックの実現
LumenとNaniteがゲームにもたらす恩恵は、製作作業時間の大幅な短縮とフォトリアルなグラフィックの実現。
作業時間短縮は少人数で活動するデベロッパーに対して有益で、現実世界に近づくグラフィックの躍進は、これまで実現不可能だった描画表現に直結する。
主にオープンワールドゲームで真価を発揮しそうだ。
Unreal Engine 5が持っているこれらの画期的な機能をゲーム内でどのように活かしていくかは、デベロッパーの手腕にかかっている部分も多い。
正式リリースから日も浅いため、現状でその性能をフルに発揮した作品は少ないと言える。
UE5のポテンシャルを知りたい場合には、技術デモを見るのが一番だ。
『The Matrix Awakens: An Unreal Engine 5 Experience』
『The Matrix Awakens: An Unreal Engine 5 Experience』は、期間限定でダウンロードできたUnreal Engine 5の技術デモ。
プレイヤーは映画『マトリックス』をフィーチャーしたオープンワールドの探索を体験できる。
映画製作に関わっていたスタッフも協力して製作されたこのデモは、次世代ゲームのカギとなる作品だ。
映画のデジタルダブルと比較しても遜色のないハイパーリアルなデジタルヒューマンが登場する本作。
シネマティックシーンから始まり、その後映画のワンシーンを彷彿とさせるカーチェイスとアクションシーンへとなだれ込む。
注目ポイントは、これら一連のシーンが16平方キロメートルのオープンワールドマップ内で起こっている点。
ゲーム開発者が構想しながらも、現実的に不可能だった描画は、UE5のパワーによって実現する時代に来ている。
都市はプロシージャル生成され、道路サイズや建物の高さ、歩道の瓦礫の量までが自動的に決定されて再現されるため、制作スタッフは少人数で済んだとのこと。
今後オープンワールドゲームの制作を目指すスタジオや個人にとって、大きな希望を抱かせてくれるデモ版だ。
技術デモ『The Matrix Awakens: An Unreal Engine 5 Experience』は、現在都市部のサンプルのみDLが可能だ。
専門用語が数多く飛び交う内容になったが、Unreal Engine 5にはゲームの未来を変えるポテンシャルと性能があることは十分にお分かりいただけたと思う。
それでは、今後リリースが予定されているUnreal Engine 5で開発中のゲームを見ていこう。
Unreal Engine 5で開発が進められている新作ゲーム
『ドラゴンクエストXII 選ばれし運命の炎』(配信・発売日未定)
スクウェア・エニックスの新作ゲームで、RPGの金字塔『ドラゴンクエスト』シリーズ本編第12作目。
おなじみのロゴの後ろに12を表すローマ数字が亀裂のように入るティザートレーラーは、約1年で296万回以上再生されている。
現時点でもロゴが公開されている以外、具体的なシステムやビジュアルに関しては伏せられたまま。
堀井雄二氏の公式発言を拾っていくと、本作はダークな雰囲気を持つ「大人向けのドラクエ」になる予定で、さらに挑戦したゲームになるとのこと。
堀井雄二氏の公式発言では選択肢を迫られるシナリオが展開していくそうで、プレイヤーが自分の「生き方を決める」要素があるそう。
また、も注目すべき発言として「コマンドバトルを一新する」というものがあり、既存シリーズとは一線を画すタイトルになりそうだ。
作品の存在が発表された2021/5/27には「Unreal Engine 5」を開発に用いている旨が掲載された。
この時点でUE5は早期アクセス版だったが、最高のグラフィックを引き出すために英断したと捉えるべきだろう。
共同開発に関わっているのは、株式会社オルカとヘキサドライブの2社。
存在が明かされてから約5年近くが経過しているが、現時点でも作品の詳細は伏せられたままとなっており、ファンの想像力を膨らませている。
2021年には長年ドラクエファンに親しまれた作曲家のすぎやまこういち氏が逝去するなど悲しい出来事もあったが、作品が無事に完成するのを待とう。
『ウィッチャー』シリーズ最新作(タイトル未定・配信・発売日未定)
CD PROJEKT REDの最新ゲームタイトルで、『ウィッチャー3 ワイルドハント』に続くシリーズ最新作として開発が進められている必見作。
4000万本以上を売り上げた前作の「新章」ということで世界中の期待を集めており、どのような世界が展開していくかが注目されている。
CD PROJEKT REDはこれまでゲーム開発を自社製のエンジン「REDengine」で行ってきたが、2022年にEpic Gamesと複数年に及ぶパートナーシップ契約を締結。
ゲームエンジンをUnreal Engine 5に切り替えて新作を開発していることも発表している。
現時点では開発状況や発売日を含めた情報は一切提示されておらず、今後の最新情報が待たれる状況だ。
CD PROJEKT REDの公式サイトでニュースレターを登録しておくと情報をいち早く入手できるので、メールアドレスを持っている人は登録するのもアリ。
作品の全貌がお披露目されるのはまだ先になりそうだが、気長に待とう。
『S.T.A.L.K.E.R. 2: Heart of Chornobyl』(2024年配信・発売予定)
GSC Game Worldが開発を進めているサバイバルホラーアクションFPSで、放射能汚染されたチェルノブイリを舞台とする人気シリーズ最新作。
一時完全に製作が頓挫していたが、2020年に改めて本作の再開発が公言され、その後Unreal Engine 5を用いていることも表明された。
64平方キロメートルの広大なオープンワールドマップが特徴。
様々な派閥が絡むストーリー、武器に何百通りものカスタマイズを行える点が大きな魅力となっている。
数種類のエンディングを持つためにリプレイ性も高く、オープンワールド探索も捗るはずだ。
公式YouTubeチャンネルで閲覧できる動画では、高精細なグラフィックで動くキャラと、細部まで丹念にモデリングされたリアルな画面を確認できる。
本シリーズの人気を決定付けたディストピアな世界観にも磨きがかかっており、必見だ。
ミュータントは、異なる行動モデルとサブタイプを持って出現することが明かされているため、戦闘がこれまで以上に緊張感を増すことが予測される。
飢え、睡眠、出血、被曝効果があるサバイバル要素もあり、ハードコアなプレイ体験を求めている人には断然おすすめだ。
公式サイトではMODを全面サポートする旨が発表されており、趣向に応じてゲーム世界を自由に拡張・補完できることも明記されている。
マルチプレイモードに関しては発売直後の無料アップデートで実装される予定だ。
ウクライナに拠点を構えていたGSC Game Worldは、ロシア侵攻からゲームの開発環境を守るため、現在はチェコのプラハへ拠点を移して作業を続行中。
一度は完全に空中分解してしまったと思われた本作だが、執念で開発が続けられており、年末の発表に期待が高まっている。
『Project NB (仮称)』(タイトル・配信日未定)
韓国のデベロッパーBLACKSTORMが制作を進めている新作スマホ向けファンタジーRPG。
アニメキャラが3Dモデルとなって動き回る世界観と、アニメーション映画の中に入り込んだような気分に浸れるゲームグラフィックが魅力。
正式タイトルは未定だが、詳細が気になる新作だ。
ストーリーや主要な登場人物については不明なままとなっているが、ゲームはオープンワールド型のオンラインRPGとなる予定。
プレイヤーが降り立つ世界には時間経過の要素があり、昼と夜で異なる表情を見せてくれるとのこと。
セル画風景と3DCGモデルが違和感なく融合したグラフィックは没入感満点だ。
バトルはターン制をベースとしたスタイルで、戦闘中にパーティーに編成しているキャラが固有スキルを発動する際には、ゴージャスなカットイン演出も出現。
こうしたシステムはスマホ向けRPGでは珍しくないが、Unreal Engine 5を用いているため、ハイグレードな演出効果を期待できる。
公式トレーラーの映像は、必ずしも正式バージョンと一致するとは限らないため、ここでご紹介している画像は、製品版で大きく変わる可能性もある。
ただし開発初期段階にありながら具体的な世界観やグラフィックが煮詰められているように感じるので、開発進捗が非常に楽しみだ。
Unreal Engine 5が持つポテンシャルをスマホゲームにも活かしたいという向きは、今後も世界的に活発になっていく可能性が高い。
最大のネックはユーザーがどの程度ハイスペックなスマホを持つかということで、スマホの描画性能が進化していくことも条件になっていくはず。
現在も高精細なグラフィックを実現しているゲームが存在しているが、バッテリー消費が早まる弊害もあり、最高設定でプレイすることには障害も多い。
より低電力で美しいプレイ画像を維持できるスマホの登場も必須だ。
『Project NB (仮称)』がどのユーザー層に向けて製品を開発しているかは気になる部分だが、ゲームの最適化で手腕が問われることになりそうだ。
『METAL GEAR SOLID Δ: SNAKE EATER (メタルギア ソリッド デルタ: スネークイーター)』(配信日・発売日未定)
PC版(Steam)、PS5、Xbox Series X|S向けに開発が進められているコナミのアクションRPG。
本作は2004年に発売された『METAL GEAR SOLID 3 SNAKE EATER』を原作とするリメイク作品。
原作のストーリーや世界観はそのままに、UE5の最新グラフィックと立体的なサウンド表現によって、究極のサバイバルステルスアクションを楽しめる。
潜入先は大自然に囲まれたジャングル。
周囲の環境に合わせた迷彩服やフェイスペイントを施すことで敵の目を欺く「カモフラージュ」が搭載され、ユニークな潜入方法を行える。
ジャングルに生息する動物を食料にしてスタミナを回復する「フードキャプチャー」やを実装。
格闘術をベースとした戦闘システム「CQC(Close Quarters Combat)」も楽しめることがアナウンスされている。
今後の最新情報をチェックしておこう。
その他にもビッグネームが開発中
今回ご紹介したタイトル以外にも、UE5を用いて開発が進められているビッグネームは多数存在するが、イメージ画像すら存在していない作品は除外している。
例えば世界中にファンを持つ『トゥームレイダー』シリーズの最新作もUE5で開発されているが、現時点では画像も動画も存在しない。
Unreal Engine 5は、個人開発者や大企業を問わず、誰もが高精細かつフォトリアルな表現を得られる3DCGツールとして人気を博していくことになるだろう。
ゲーム業界にも真の「次世代」が到来しており、これから誕生するゲームの数々には期待を抱かずにはいられない。