『SunnySide (サニーサイド)』は、2024/6/15からPCゲームのポータルサイトSteamで正式配信されている開発:Rainy Games、パブリッシング:Marge GamesのPCゲームで、日本をイメージした世界を舞台に活気溢れる農場経営を行いながらNPCと交流し、人生を体験できるシミュレーションゲームタイトル。
理想の家を生み出しながら農業を極めていくプレイ、様々な葛藤を抱えたNPCと会話を進めながら恋愛要素にまで踏み込むことができる人生シミュレーターとしての要素、他者との関わりを行いながら地域に溶け込んでいくゲームシステム、113種類に及ぶ作物と数百種類を数える料理・フードのクラフトレシピが大きな特徴。
ファーミングシミュレーターが持っている牧歌的な世界観とストーリー要素が好きな人、NPCと触れ合いながら関係性を深めていく要素を持つゲームを探している人、日本のゲーム文化などにインスパイアされた外国人が作るタイトルをプレイしてみたいと思っている人、他者になって人生を楽しめるSLGを求める人におすすめの作品。
- 人生をシミュレート
- 1人でじっくりプレイ
- NPCと恋愛も可能
日本の田舎で人生を体験できるSLG
現在PCゲームのポータルサイト「Steam」ストアで正式配信中の『SunnySide (サニーサイド)』は、日本の田舎をイメージした世界で「農業」を中心としたスローライフな人生をシミュレートしていくおすすめの新作。海外のインディーゲームデベロッパーが再構築した日本が話題を呼んでいる必見のシミュレーションゲームタイトルだ。
プレイヤーは自分だけのアバターを生み出しながら、日本の片田舎の中心にある古びた田舎町(サニーサイド)で土地を購入し、誇れる農場作りを行っていくことになる。資源の発見や自分が理想とする家造り、そして動物の世話や作物の収穫などを行いつつ、地元に暮らしている人々との交流要素も体験できるという盛りだくさんな内容だ。
牧歌的な農場経営ではなく、現代のテクノロジーを駆使しながら新しい農場経営の形を模索することも可能な本作は、現代の日本で若者が異なるアプローチで農業を楽しんでいるのと似た感覚を体験できる作品。老若男女を問わず親しめる作風と世界観を持っているが、特にスマホやタブレットを使いこなしている人に向いている新作だぞ。
記事執筆時点でSteamストアには合計で48種類のユーザーレビューが寄せられており、その総評は「やや好評」という結果になっている。否定的な意見の中には本作が持つ「翻訳の不備」などを挙げるユーザーがおり、やや未完成の状態でリリースされた感も否めない。これは今後のアップデートによって改善されていくことだろう。
グラフィックに関して言えば、日本アニメーションを意識したキャラクターデザインになっているため、海外のゲーム作品をプレイすることが苦手な人でも親近感を持てるというアドバンテージがある。異国の開発メンバーが日本をどのように再現しているのか、という点でも非常に興味深い作品で、日本人ユーザーには特におすすめだ。
ゲームはソロプレイ専用で、ローカル及びオンラインでのマルチプレイ要素は存在しない。また一部日本語翻訳が完了していない部分も見られるが、さすがにこのまま放置されることは考えにくいので、そこまで深く考えなくても良いだろう。ただしストーリーを完全に把握したい場合には、他言語を読める程度の読解力があると安心だ。
気骨のあるパブリッシャーが送る新作
作品を開発したのは、インディーゲームデベロッパーのRainy Gamesで、パブリッシングはMarge Gamesが担当。Marge Gamesは従業員の全員がビデオゲーム好きという集団で、「単純に素晴らしいと思うビデオゲームのみを発表する」という企業理念を持って活動している。今後のリリース作品も楽しみなデベロッパーだ。
ちなみにMarge Gamesは、才気あふれるインディーゲームデベロッパーの作品を世界へ発信する手伝い(パブリッシング)を手掛けているので、自分でワールドワイドなプロモーションを行うことが難しいと考えているゲーム開発者は、一度彼らにコンタクトを取って作品の後押しを手伝ってもらうことを検討するのも良いかもしれない。
予算が限られている、または製作に膨大な時間を費やし、プロモーションにまで手が回らないという人は多いと推察される。現在はAI翻訳も存在しているが、各国の言語で自分のゲームを正しいニュアンスで紹介することに限界を感じている人もいるはずだ。Marge Gamesはそんなデベロッパーの心強い味方になってくれるぞ。
Marge GamesはSteamだけに自社作品を展開しているのではなく、Epic Gamesストアにも配信しているほか、コンソール版としてNintendo Switch、Xbox、PlayStationにも作品を提供している。マルチプラットフォームかつワールドワイドなゲームの展開を目指している人にもおすすめできるインディーゲームデベロッパーだ。
ただし厳選したゲームのみをリリースしている彼らの「審査の目」は厳しいはずなので、交渉したからといってすぐに自分のゲームが世界でマルチプラットフォームリリースされるとは限らない。コンタクトを取って彼らの率直な意見を聞き、さらにゲーム開発を推し進めていくというのも、結果的には良いゲームの誕生に繋がっていくだろう。
なお、Marge Gamesは各種SNSも展開中なので、このデベロッパーの動向が気になる人は、公式X(旧Twitter)や公式サイト、公式Discordサーバー、公式YouTubeチャンネル(Rainy Games名義)などをチェックしておこう。特に公式サイトを閲覧すると、メンバーたちの人柄や集団としての考え方について理解が深まっていくはずだ。
ゲームの特徴
田舎町でのスローライフがテーマとなっている本作だが、その中で触れられるコンテンツは幅広く、一種の人生シミュレーター的な楽しみ方で遊べる点がポイント。中にはカードバトル風の場面も登場するため、ロールプレイングゲームが好きな人でもハマる可能性を持つ新作PCゲームと言える。かなり欲張りな内容が光る必見タイトルだぞ。
ジャンルの面で考えると、「ファーミングシミュレーター」「人生SLG」「恋愛SLG」「RPG」が混在した作風で、その根底には「日本」というキーワードが入り込んでいる。海外ゲームだが国産ゲームで見たようなシーンも登場するので、日本人には親和性が高い作品であり、この点を考慮して本サイトでもゲームを取り上げている次第だ。
作品には113種類の作物が登場し、合計で27名のNPCも登場。数百種類に及ぶ膨大な料理とフードクラフト用レシピも存在するため、長時間夢中になって遊べること間違いなし。非常に充実したコンテンツでプレイヤーを楽しませてくれるシミュレーションゲームに仕上がっており、異世界での自由な時間を満喫できることだろう。
プレイヤーの分身としてゲーム内で活動する主人公アバターに関しては、詳細なカスタマイズを施すことが可能。性別や身体的特徴、そして着ている洋服に至るまで、細部をカラーリング込みで調整できるようになっているので、MMORPGで自分好みのキャラクターを生み出すことが好きな人にもハマるインディーゲーム作品と言える。
カスタマイズの自由度という点で言えば、インテリアの配置や農作物の取捨選択、そしてガジェットとして扱えるスマホとドローンにもカスタマイズ要素があり、全てを自分好みに変えながら活動できる点も高評価ポイント。個性ある人物として人生を主人公にシミュレートさせていくプレイが捗るため、長時間夢中になれること請け合いだ。
プレイ視点はアバターを背後のカメラ視点で見るサードパーソンビューが基本で、最新ゲームらしいポップなセンスでアレンジされたワールド内を移動しながら、様々なコンテンツへとチャレンジしていくプレイを客観的に体験できる点が魅力。リアル過ぎず、適度な解像度を持っているゲームグラフィックは性別を問わず親しめるはずだ。
NPCとの交流要素
現実世界と同様、本作でも地域とコミュニティーへ溶け込んでいくことが大切な要素になっており、住人NPCとの交流についてもたっぷり体験できる。会話の中で彼らが抱えている問題なども聞き出すことができ、特定NPCと恋愛要素も発展させられるため、まるで自分がゲームの中で生きているような感覚を覚えながら遊べるはずだ。
家族のトラウマ、壊れた人間関係、罪悪感、非難、老いといった複雑なテーマも登場する本作は、NPCを記号として描かず、1人の「個人」として性格付けて扱っているため、プレイを進めていくほどに地域で暮らしている人々との深い関係性を築くことができ、そこにやり甲斐も生まれる。深みのある人物描写をたっぷりと体験していこう。
多くのファーミングシミュレーターゲームでは一般的に人々が「陽気」であり、深い悩みを抱えている描写に出会うことは滅多にないが、人生シミュレーターとしての側面も併せ持つ本作では、感情面や精神面なども体験しつつ交流を深めていくことになるため、奥深いプレイ体験を創出している。見た目以上にディープな作風を持つ新作だ。
そのため現実世界で人間関係に疲弊し、その癒やしとしてゲームで遊んでいる人にはやや不向きな作品であり、特定のトラウマや感情などを呼び起こさせる可能性もある。ややこしい人間関係は現実世界だけで十分、と考えている人は今すぐこのページを離れ、もっとアッパーかつカジュアルなゲームを探すことを強くおすすめする。
その反対に本作が向いている人は、ゲーム内の登場人物たちに感情移入し、現実世界で接するのと同じように自分で判断を下しながら相手になっていくことができる人であり、ゲーム開発者が作り込んだ世界観に共鳴しながら遊ぶほど得られるものが出てくるはず。没入型のシミュレーションゲームとして生み出された必見のインディーゲームだ。
農場シミュレーション要素
前提として「片田舎で農業を営みながら生活する」という世界観を持っている本作最大の魅力は、豊富なコンテンツに触れながら自分だけの農場経営を成功させていくプレイ要素。様々な物を生み出すことにチャレンジしながら「自給自足」の生活を軌道に乗せ、都会暮らしとは180度異なるスローライフの生活を満喫しよう。
ゲームには脱水機やミルク分離機、チーズケトル、発酵樽、缶詰器などに分かれる「フードクラフト用の機械」が登場。これらを使うことで作物を製品化し、地元の商店に陳列して販売することができるようになるので、単に原材料だけを生産していく農業者の地位を脱して、製品加工業者のレベルまで体験することが可能だ。
ビールや醤油、オイル、お茶などを作れる本作では、商品を瓶詰めもしくは袋付しながら販売する過程を楽しむことができ、成果物を地元のお店や企業、週末に開催されるファーマーズマーケットなどで売ることが可能。新天地で自分らしさを見つけ出しながら「人々に食を提供する」人物になれるため、プレイの面白さは満点だぞ。
JRPGらしい要素も
『SunnySide (サニーサイド)』がユニークな点は、本作が属しているジャンルの作品ではまずお目にかかれないバトルシーンの存在。異なるジャンルの融合にも果敢に挑戦していく「実験精神」を持った新作PCゲームであり、その姿勢は実にインディーゲームデベロッパーらしい。何にも縛られない自由な発想が生み出したタイトルだ。
そのバトルシーンは「カードバトル」風のシステムで展開。日本をイメージした作品らしい「絵札」を切りながら敵を攻撃していくスタイルを持っており、本編とは全く異なる趣のプレイを楽しめるようになっている。開発者が影響を受けたであろう「元ネタ」を探っていくのも面白いコンテンツで、やりこみ要素も頭脳プレイ要素も高いぞ。
このカードバトルの背景には、1000年間稼働しているというちょっと生意気な調査ドローン「スパーキー」の存在がある。崩落した現場からスパーキーによって救出された主人公は、スパーキーたちに与えられていたミッション「人間について詳しく知る」を完了させる手伝いを行うことになり、その中でバトルシーンに遭遇する流れだ。
デッキを構築しながら最も効果の高い攻撃スタイルを編み出すことが得意な人にもおすすめできる新作ゲーム、と言えるかもしれない。JRPGでバトルシーンに親しんでいる人にも好印象を与えることだろう。ただし本作はバトルがメインの作品ではなく、このコンテンツは「おまけ」程度だと思っておいたほうが良い。サービス・コンテンツだ。
日本語インターフェースをサポート
Steamストアでの販売価格は3,400円で、現在はリリース記念セール価格となる20%OFFの2,720円で購入できる(2024/6/29までの期間限定価格)。もともとの値段もかなりリーズナブルな設定ではあるが、少しでも安く製品を購入したいと考えている人は、期限が来るまでにSteamストアへアクセスして、製品を忘れずに購入しよう。
ゲームは標準で日本語インターフェースと字幕をサポートしており、参入の敷居は低い。開発メンバーが意識している「日本」での展開もしっかりと意識したローカライズが光る作品だが、前述の通り翻訳が抜けている箇所も残念ながら存在するため、完全な状態でプレイを楽しみたいと思っている人は、導入を後回しにするのもアリだろう。
なお、Steamストアでは現在ゲームの一部を無料で体験できる「デモ版」も同時配信中。内容がどのようになっているのか不安である、または自分が抱いているイメージと違うかどうか心配という人は、最初にこの無料体験版をダウンロードして少しプレイを進め、その後で購入を検討するのも良いだろう。親切な仕組みが光る新作ゲームだ。
これも前述した通り、本作は完全にソロプレイ専用の作品であり、ローカルとオンラインでのマルチプレイには非対応となっている。操作についてはキーボードとマウスを用いる一般的なスタイル以外に、Xboxコントローラーでの操作を部分的ながらサポートしているため、普段ゲームをコントローラーで遊ぶ事が多いという人でも安心だ。
ちなみに現時点でゲームのValve製携帯ゲーム機「Steam Deck」との互換性について発表されておらず、これは今後Valveの審査が通った段階で詳細が公表されていく見込み。Steamには連日多くの新作ゲームが発表されている関係上、Valveチームの調査が遅れている可能性が高い。Deckユーザーは気長に互換性認証発表を待とう。
解除できるSteam実績は合計で50種類と非常に豊富。持っているゲーム作品の実績を全て解除してきている「実績ハンター」な人にもおすすめできる作品で、農業と人生シミュレーター要素を満喫しながらNPCとも交流を深めつつ、搭載されている全ての実績を解除していくプレイも大いに捗ることだろう。やりこみ要素満点のPCゲームだぞ。
購入を考えている人への注意事項として、本作には「成人向けコンテンツ」が入っていることが開発者から警告されている。決して全年齢向けのゲーム作品ではなく、ある程度の年齢に達したユーザー向けのシミュレーションゲームである、という認識を持ちながら購入を決めていこう。ただしこのコンテンツは露骨・過激なものではない。
システム要件
『SunnySide (サニーサイド)』のシステム要件は中程度。推奨要件で提示されているグラフィックボードはNVIDIAのRTX 2060クラス、もしくはAMDのRX 5600 XTクラスのパーツとなるため、現行のミドルスペック帯にあるゲーミングPCを持っていれば、プレイに支障は出ないはず。メインメモリの推奨搭載量も8GBと軽量級だ。
CPUの推奨モデルはIntelのi7-3770KもしくはAMDのRyzen 5 3600クラスのプロセッサーとなり、この点でも参入の敷居が低い作品と言える。ちなみに最低動作モデルはi5-2300もしくはRyze 3 1200となっているので、これらの要求スペックをクリアできる人は多いはずだ。幅広いPCゲーマーが遊べる新作シミュレーションゲームと言える。
インストールサイズに関しては記載が存在せず、これはパブリッシャーのミスと言えるかもしれないが、今後ゲームの容量に影響を与えるようなダウンロードコンテンツが登場する予定もないため、一度インストールすればストレージの空き容量を気にすることなくプレイを継続できるだろう。総じて軽さが光るゲームとなっているぞ。
なお、ゲームをプレイしながら実況配信することを考えている人は、要求スペックで提示されているCPUよりも高性能なものを用意しておくと安心。またフルHD以上、WQHDや4K解像度のモニターをネイティブ解像度で利用しようと考えている人は、グラフィックボードを推奨要件よりもやや高いものへ置き換えることを考えよう。
一般的にPCモニターの解像度が上昇すると、それに伴ってグラフィックボードへの負担が増え、また動画を録画・撮影しながらアップロードするというタスクはCPUに負担をかけることになる。Steamストア上に記載されている要求スペックはあくまで一般的な記述になっているため、ある程度自分で考えながらパーツを選ぶことが必須だ。
日本をイメージした世界を舞台に活気溢れる農場経営を行いながらNPCと交流し、人生を体験できるシミュレーションゲーム『SunnySide (サニーサイド)』は、現在Steamストアで好評配信中。舞台が舞台だけに日本人ユーザーからの注目度もかなり高くなっており、今後日本でも話題になっていく可能性を秘めた新作PCゲームと言える。
興味が湧いた人は今すぐSteamストアへアクセスして、詳細なゲーム情報をチェックしよう。
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総評:海外が再発見する日本のゲーム文化
『SunnySide (サニーサイド)』に限らず、最近は日本をフィーチャーしている海外のゲーム作品が多くなってきている印象を受ける。デベロッパーの中に「親日家」がいることも要因の一つとしてあるだろうが、かなりのウェイトを占める理由として、海外にまで波及していった日本産のゲーム作品が与えた文化的な影響もあるはずだ。
ファミコンがブームを巻き起こして以降、日本で生まれたゲームは海外向けにも展開していった。現在ゲームを開発する立場となったデベロッパーたちも幼少期にこれらの作品に接していたことが多く、自分自身が受けた影響を素直にゲームへ反映させた結果、日本的なシステムや世界観を持つゲーム作品が生まれていく傾向もある。
つまり『スーパーマリオブラザーズ』シリーズ作品やJRPGなど、今や全世界的な知名度を誇っているゲームたちが海外デベロッパーの「原体験」となっていることが多く、彼らは日本産のゲームタイトルを「自分を形成したもの」として容認しているということにも繋がっていく。異文化圏で発生した面白いミックスカルチャー要素だ。
ところが日本で生まれたゲームと海外で作られるゲームには、やはり異なる文化が影響してその内容が同一、または近くなっていく傾向が薄いため、そこに微妙な化学変化も生まれてくる。見た目とシステムは日本製のゲーム作品に近いが、実際に日本人がプレイすると端々に「違和感」を感じるのは、この影響があるためと推察する。
とは言うものの、近年はYouTubeに多種多様な動画が投稿されるようになっており、海外の人たちが日本について正確に知る機会も大いに増えてきている。これからは「これ外国で作ったの?」と感じるようなゲームが生まれてくる可能性も高く、筆者は個人的にそれが楽しみだ。無論「日本のゲームを再定義する」考えの作品でもOKだ。
ゲームだけに限定されず、異国圏によって育まれてきたサブカルチャー文化は多い。特に顕著なのは音楽と映画の世界で、人種や主義主張が異なる文化圏で発展してきたこれらのサブカルチャーは、体系化することが非常に難しいほど入り組んでいる。外交を閉ざしている国家でない限り、文化の融合や再解釈はいつでも起こり得ることだ。
最近は「外国人が再発見する日本」にも注目が集まっている。建築家のカール・ベンクス氏は日本古来の工法で建設された古民家に独自の解釈を加えることでその素晴らしさを日本人へ再認識させており、現在主流となっている短期間の工法で乱立するマンションの存在価値に対して警鐘も鳴らす。筆者は個人的にベンクス氏に賛成だ。
ゲーム業界に話を戻すと、現在の日本に存在する「かつて海外に多大な影響を与えたゲーム企業」は、クリエイティブな面において苦境に立たされている感覚を覚える。ファミコンからスーパーファミコン、Nintendo 64などの時代に世界中にファンを生み出したゲームを開発した人物たちの多くは去り、その後任は結果を出していない。
これは非常に厳しい意見になるかもしれないが、現在大手のゲーム業界で働いている多くの若者たちは、サブカルチャーとして隆盛を極めた頃のゲームを「実体験」しておらず、また当時どのように企業同士がしのぎを削ってきたのか、という歴史もあまり理解していないように感じる。つまり「本当に面白いゲーム」を知らないわけだ。
どの時点からこういった流れになってしまったのかは説明が難しいが、一つにはオンラインゲーム化に乗り遅れた側面もあり、もう一つには海外ゲーム作品が持っている圧倒的な自由度を「日本国内だけの制約」によって再現できないという面もあるだろう。無論これは「大人向け」のゲームを作る人々についての話だ。
ゲーム文化が隆盛を極めた当時はプレイ人口の年齢層が若く、「子供が喜ぶゲーム」を生み出すことに腐心していればよかったのだが、オンラインゲームが生まれた時点でプレイヤー層の年齢が引き上がり、彼らの趣向に合わせたゲームが人気を得るようになっていった。日本のゲーム企業の多くは、このチャンスを潰したと思う。
任天堂が現在も世界のプレイヤーからリスペクトされている要因には、「子供が遊べるゲーム」をしっかりと作り続けている点が大きく関与しており、その一方で世界の動向に遅れを取った日本の大手ゲーム企業は、プレイヤーの年齢層を絞れないままに作品を作り続けるジレンマに陥ったのではないだろうか。
現在はゲームの宣伝に特定の年齢層のファンを持つインフルエンサーやタレントを起用するなど、マーケティング手法も変化を見せてきているが、そういった作品の多くは「短命」であり、文化的な影響を残すところにまでは至っていない。日本人であるのに、かつて日本から生まれた黄金のようなゲームを生み出せないことは悲劇だ。
そうした中でかつて日本が誇っていたゲーム遺産を海外のゲーム開発者が「精神的」に継承していく傾向が強くなり、日本のゲームファンからも大きな支持を獲得している。大手の日本ゲーム企業が袋小路へと入り込んでいるうちに、文化の本質を正しく理解した海外のデベロッパーが「日本の良さ」をゲームで体現しているのだ。
今後生み出されるゲームは「これは誰のために作られたゲームなのか」という部分を鮮明にしていかないと、短命に終わる宿命にあると考える。そして日本のゲームはどうして世界的な影響を与えるに至ったのか、という「本質」を理解しながら製作に取り組むことも大切で、この理念を実行できる企業だけが生き残っていくのだろう。
本作『SunnySide (サニーサイド)』はまさに「日本のゲーム文化が好きな開発者によって作られた作品」だが、今後この作品が伸びていくかどうかは、実際にゲームで遊んだプレイヤーの判断によって変わっていくはず。彼らは一体日本産のゲームのどこに「魅力」を感じ、それを自分たちの手で再現したいと考えたのか、という部分だ。
日本をイメージした世界を舞台に活気溢れる農場経営を行いながらNPCと交流し、人生を体験できるシミュレーションゲーム『SunnySide (サニーサイド)』は、現在Steamストアで好評配信中。日本ゲーム文化に親しんできたデベロッパーが「日本への恩返し」を行うムーブメントは、これからもどんどん活性化していきそうな勢いだ。
【おすすめポイント】日本リスペクトな新作SLG!
SunnySide (サニーサイド)スペック/動作環境
動作環境 | 必須環境 | 推奨環境 |
---|---|---|
対応OS | Windows 10(64bit) | Windows 10(64bit) |
CPU | Intel Core i3-2100 | Intel Core i5-8400 |
メモリー | 4GB | 8GB |
グラフィックカード | NVIDIA GeForce GTX 660 | NVIDIA GeForce GTX 970 |
VRAM | 2GB | 4GB |
HDD空き容量 | 10GB | 10GB |
DirectX | DirectX 11 | DirectX 11 |
備考 | インターネット接続環境が必要 |
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