2021/7/28からSTEAMで正式配信されているValueの購入型PCゲーム。高精細な3DCGグラフィックで再現されたSF世界を舞台に「キャプチャー・ザ・フラッグ」形式のバトルを体験できるアクションFPS。
Unityが無償配布している「FPSサンプル」のアセットとプログラムを用いた世界観、SF世界を舞台とする作品らしい4種類の武器を搭載するロボットと人型キャラクターの存在、起伏に富んだバトルアリーナ、オンラインで実現するプレイヤー同士の対戦プレイが特徴で、SFアクションシューティングが好きな人におすすめ!
Unityの実力を体験できる新作ゲーム
現在PCゲームのポータルサイト「STEAM」で正式配信中の『CS Horizon』は、高度なゲームグラフィックで再現されたSF世界のアリーナを舞台に、プレイヤー同士のオンラインアクションシューティング対戦プレイを楽しめる新作ゲーム。「キャプチャー・ザ・フラッグ」形式のバトルが展開するFPS作品だ。
ゲームにはメカニックな外見を持つロボットと人型キャラクターが2体登場し、4種類のユニークな武器を持ちながら陣地を制圧する攻防戦を体験できる。起伏に富んだバトルアリーナのレベリングが秀逸で、迫力ある一人称視点のプレイ画面でスピーディーなアクションバトルを楽しめるようになっている点が大きな特徴だ。
▲最新ゲームらしい3DCGの描画を体験できるアクションFPS。その秘密は「Unity」のプロジェクトにある。
ちなみに現段階ではオンラインでのマッチングやゲームの挙動に関して不具合が複数報告されているので、不安な場合は開発やアップデートの進捗を待ってから購入するのが吉。BOT相手のPvE要素はなく、オンラインでサーバーに接続している状態で遊ぶ作品なので、人の集まりにも注意しよう。
なお、本作はユニティ・テクノロジーズが開発している3DCG向けのゲームエンジン「Unity」が無償配布しているプロジェクト「FPSサンプル」の世界を借用したゲーム作品で、登場するキャラクターと基本ゲームの構造、ゲームグラフィックとUIに至るまで全て同じ内容となっている。ここからは「FPSサンプル」について見ていこう。
開発者向けに無償提供されている「FPSサンプル」
「FPSサンプル」は、中級から上級者のプログラマー向けに「Unity」がオープンソースとして無償提供しているプロジェクトの名称で、必要なパーツを抽出して再利用したり、プロジェクトを紐解いて自らのアクションFPS開発に役立てる目的で提供されている。ゲーム開発者に「素材」と「発見」をもたらしてくれる取り組みだ。
ゼロの状態からオンラインFPSを構築することは初心者にとって難しく、物理演算やライティングなどの設計、さらにはオンラインでプレイヤー同士が対戦するゲームシステムなどを包括的に構築していくことは困難。「FPSサンプル」はある程度形になった状態の作品を提供することで、その仕組みを学べるプロジェクトだ。
「FPSサンプル」には内部検証向けとして活用できる側面もあり、アセットを含めた全てのプログラムデータを無料ダウンロードできる。開発者はこれらのデータにアクセスしながらオリジナルモデルに置き換えたり、内部構造を書き換えて新たな作品製作の起点にしたりすることが可能で、ライセンスも無償で提供される。
▲「Unity」で出来ることを体験できる、という意味で価値のある作品。後はプレイヤーの考え方次第だ。
「Unity」はこの「FPSサンプル」をゲーム製作の学習用途やインスピレーションの源にしてほしいと考えており、パッケージにはあえて不完全なネットコードも含まれている。つまりこのプロジェクトを借用しながらオンラインゲームに転用して配信するためには、高度なプログラミング技術と開発スキルが要求されることになるぞ。
『CS Horizon』はこの「FPSサンプル」に元々実装されていたゲームモード「デスマッチ」と「アサルト」を「キャプチャー・ザ・フラッグ」に置き換えて発売した作品で、アセットやゲームグラフィックなどはそのまま活用。この辺りをどう捉えるかによって評価が分かれるところだが、基本的には違法行為ではない。
STEAMでの販売価格は930円。無償提供されているプロジェクトを大胆に活用した作品のため、値段分の価値があるかは正直微妙だが、「ライセンスフリーの素材を活用すればゲーム開発を早められる」ことを示したタイトルとしては興味深い。なおインターフェースは英語一択で、日本語UIおよび字幕・音声は非搭載だ。
【おすすめポイント】 無償提供された素材で構築された新作!
今後の開発とオリジナリティーに期待
Unityが提供している「FPSサンプル」を大胆に取り込んで開発された新作PCゲーム『CS Horizon』は、今後のさらなる手入れとオリジナリティーの実装が期待されるアクションFPS。素材の完成度が高いためにそのまま使いたくなってしまった気持ちはわかるが、それではSTEAMユーザーを納得させることは難しい。
ゲームを発表した中国のインディー系デベロッパー「Value」は、2017年にVRゲーム『Fisher Fans VR』でSTEAMに初登場した製作者で、本作は彼らにとって2作目の商業ゲーム作品となる。過去の開発実績があるだけに、アセットをそのまま流用せず、自分たちのカラーを持ったゲームに作り変えてもらいたいところだ。
▲今後の開発で別レベルの作品に仕上げない限り、STEAMユーザーを振り向かせることは難しいだろう。
STEAMでレビューを投稿するユーザーたちは本作のような「アセット流用」に関して非常に厳しい目を持っており、明言せずに流用していることが発覚すると途端にレビュー欄が低評価の嵐に変わってしまう。構造が類似することは仕方がないにしても、「他人の功績」をそのまま使ってしまうことには確かに大きな問題がある。
お金を払って購入するゲームであるからこそ、そこに価値を見出したいのがユーザーの心情。どんなに稚拙な表現でも「オリジナリティー」があればそれが正当な評価に繋がるので、今後時間をかけても「後追い開発」で「Value」らしい作風と表現を持ったアクションFPS作品へと作り変えてもらいたいところだ。
ゲームに登場するキャラクターのモデリングやグラフィック描画がいかに美しくても、それが「他人の功績」である場合には賛辞を受け取ることは難しい。多少見栄えが悪くなろうとも、そこに自分達だけのオリジナリティーがあれば、世界のSTEAMユーザーは作品の面白さや感想に関して真剣な議論を行ってくれるはずだ。
▲今後の再開発に期待の新作PCゲーム。現状では「そのまま」すぎるので、内容を大幅に変更する必要がある。
なお、今回の記事で開発者向けの無償サービス「FPSサンプル」に興味が湧いた人は、ぜひ「Unity」のホームページからアクセスして概要をチェックしてほしい。高度なアクションFPSがどのように作られているのかを部品単位でチェックできる画期的なロイヤリティーフリープロジェクトで、開発者を目指す人にはおすすめだ。
Unityの版権フリープロジェクト「FPSサンプル」の構造を借用して完成した新作PCゲーム『CS Horizon』は、現在STEAMストアで配信中。レビューに寄せられた真摯な意見を受け止め、今後の発展と再開発が望まれるアクションFPS作品だ。購入を検討している人は、上記の事実を知った上で買うか否かを決めると良いだろう。
【おすすめポイント】 今後の再開発に期待の新作PCゲーム!
CS Horizonスペック/動作環境
動作環境 | 必須環境 | 推奨環境 |
---|---|---|
対応OS | Windows 10(64bit) | Windows 10(64bit) |
CPU | Intel Core i5-2500K | Intel Core i7-7700K |
メモリー | 8GB | 16GB |
グラフィックカード | NVIDIA GeForce GTX 960 / AMD Radeon R9 280 | NVIDIA GeForce GTX 1070 / AMD Radeon RX Vega 56 |
VRAM | 2GB | 8GB |
HDD空き容量 | 50GB | 50GB |
DirectX | DirectX 11 | DirectX 12 |
備考 | インターネット接続が必要SSD推奨 |
(C) Value.
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