『DID YOU SCARED』は、2022/4/14からSteamで「早期アクセス版」が配信されているAKIYAMの購入型PCゲームで、様々なマップを舞台に幽霊から隠れるプロップハントプレイを体験できるホラーアクションゲーム。
最新ゲームらしいリアルなグラフィックで再現されたマップ、暗がりの中で明かりを頼りに進んでいくホラー要素満点のプレイ、小道具に変身しながら幽霊をやり過ごしていくプレイ要素、マルチプレイへの対応が魅力で、インディーゲームデベロッパーの早期アクセス版に意見を述べながら作品の完成を手助けしたい人におすすめ。
プロップハント型のホラーゲーム
現在PCゲームのポータルサイト「Steam」で早期アクセス版が配信されている『DID YOU SCARED』は、3Dグラフィックで再現されたマップを舞台に、ファーストパーソンビューでミッションの達成を目指していくタイトル。突如幽霊が出現するホラー要素が特徴で、さらに「プロップハント」の要素も持つ新作だ。
「プロップハント」とは、人間プレイヤーが特定の「物」に変身できるゲームジャンルを指す言葉で、主にかくれんぼ型の対戦プレイで用いられる。物になりすましてマップ内でじっとしているユーザーを、探し出す側のプレイヤーが発見して攻撃するプレイ要素が特徴で、特に外国での人気が高いコンテンツだ。
▲ホラーゲームの中に「プロップハント」要素を組み込んだ新作ゲーム。人間状態でも活動できる。
本作の場合にはプレイヤー同士が対戦する仕組みが存在せず、プレイヤーは突如マップ内に出現する幽霊から身を隠すためにプロップハントの能力を用いることになる。何気ない小道具になってしまうことで幽霊がプレイヤーを見失い、他を探しているうちにマップ内の別エリアへと移動していくスリル満点のプレイが展開するぞ。
早期アクセス版の現時点では、異なる幽霊が出現する復数のマップが実装されており、「イージー」「ミディアム」「ハード」に分かれる3種類の難易度を選択してプレイに挑むことが可能。ゲームはソロプレイ以外にオンラインとローカルのマルチプレイをサポートし、フレンドや世界のプレイヤーとCO-OPでも遊べる。
基本的にはマップ内でミッションの達成を目指すプレイが展開していくが、現時点での本作は開発初期の段階にあるため、様々な不具合とバグを内包している。プレイを考えている人は、ゲームが思った通りに動作しない可能性がある、という点を念頭に置くと良いだろう。もう少し開発が進むのを待つのも手だ。
▲画面中央にある「物」が、プロップハント要素で変身したプレイヤー。これで幽霊をやり過ごす。
ゲームを開発しているのは、本作が初のSteam掲載作品となるインドのデベロッパー「AKIYAM」。Steamで公式サイトリンクをチェックすると、IT会社「AKIYAM SOLUTIONS」のHPに辿り着くが、何故かそこに本作に関する記述が存在しない。概要を見ると、2022年に結成された若者主体の会社のようだ。
本作の開発者は英語ネイティブな人間ではなく、ストア上に表示される製品の英語説明文に意味をなしていない箇所が散見され、またゲーム内で表示される英単語もスペルミスが多い。企業HPにはかなり大仰な経営理念や品質管理に関する文言が並んでいるが、ゲームを紹介している英語文章が非常に拙いのは残念だ。
▲ゲームシステムの発想は面白い。ただし英語の説明文が壊滅的で、ユーザーに伝わりにくい点が残念。
Steamでの販売価格は329円で、ほぼワンコインでゲットできるお手軽な価格となっている。なお、この価格は正式バージョンで値上がりする旨がアナウンスされているので、底値である今のうちにゲットしてしまうという手もある。不具合を承知で早期アクセス版のインディーゲームをプレイできる「通な人」向けの新作だ。
インターフェースは標準で日本語をサポートしているが、英語の文章を見ておわかりの通り、翻訳精度に関して過剰に期待しないほうが良い。この作品を楽しく遊べる人は、知られざるインディーゲームを発掘することに興味がある人か、バグを「美味しいネタ」と捉えてブログやYouTubeなどで面白く紹介できる人だろう。
様々なマップを舞台に幽霊から隠れるプロップハントプレイを体験できるホラーアクションゲーム『DID YOU SCARED』は、現在「早期アクセス版」としてSteamで配信中。インドの若者たちが作っているゲームタイトルだ。興味が湧いた人は今すぐストアにアクセスして、詳細なゲーム情報をチェックしよう。
【おすすめポイント】かくれんぼ方式で遊ぶ新作!
ゲームシステム
AKIYAMがアピールしている『DID YOU SCARED』のセールスポイントに「高精細なプレイ画面」が挙げられる。3Dグラフィックで再現されたマップはかなり作り込まれており、明かりが無いと真っ暗になってしまうプレイ画面も雰囲気満点。早期アクセス版配信後のアップデートにも描画面に関する項目が多い。
前述の通り、本作には数種類の異なるマップが用意されており、プレイヤーはそこに出現する幽霊に命を奪われないように行動しながら、ミッション目標の達成を目指すプレイを進めていくことになる。遠くに幽霊が見えた際にはプロップハント要素で「物」へ変身し、幽霊に捕まることを避けていく必要があるぞ。
▲リアリティーのあるグラフィックは本作のウリ。雰囲気満点にプレイを進められるはずだ。
幽霊の出現パターンはランダムだが、現状では室内へ入るドア付近にいきなり登場することがあるなど、やや最適化不足も露見している。また幽霊自体のアニメーションは単純で、動きにも躍動感が乏しいため、「怖い」と感じられるまでに到達していない点はマイナスポイント。これは今後の大きな課題になるだろう。
未完成な点が露出している新作
ホラーゲームの肝と言える「音声周り」にも問題があり、幽霊が登場する際に聞こえる女性の悲鳴には、ジェットコースターの音が混じっている。これは恐らくフリー素材で「悲鳴」を探してそれをあてがったか、遊園地へ出向いてジェットコースターの音を録音したかのどちらかだが、これでは臨場感が台無しだ。
正直に言えば本作は「早期アクセス版」のレベルに達しておらず、まだ世間に公表できない「アルファ版」の段階にある作品で、ほとんどの要素が「借り物」で作られている状態。ゲームシステムも完成しておらず、Steamユーザーからもこの点に関してかなり辛辣な評価が上がっている。未完成のゲーム作品だ。
▲一応3Dモデリングがなされているが、幽霊にはそれほどアニメーションが無く、怖さは感じられない。
現段階で露呈している問題の多くは修正が可能で、それは技術者の腕前にもかかっているが、初動で多くのプレイヤーに不信感を抱かせてしまった以上、フィードバックを受けることが困難な現状もあり、開発者は試練に立たされていると言えるだろう。ゲームの完成度を高め、多くの人に振り向いてもらう必要がある。
プロップハント要素を取り入れるのであれば、非対称型のオンライン対戦要素を組み込むのもアリで、そうすればプレイ人口も潤っていくはず。またグラフィック品質の高さに反比例しているアンバランスなキャラクターの挙動にもメスを入れ、より怖さを引き立たせる幽霊のモーションを確立する姿勢も必須だ。
かなり「ツッコミどころ」が多い状態の本作ではあるが、改善していける余地は十分に残されているので、今後は開発者がこれらの課題にどう対処していくかが見ものと言える。2022年6月を最後にアップデートによる更新も途絶えているため、最終的な完成品をリリースできるのか、という点も見所になるだろう。
【おすすめポイント】未完成品を楽しめる人向け!
システム要件
『DID YOU SCARED』のシステム要件は中程度。推奨要件で提示されているグラフィックボードは6GB以上のVRAMを実装する「GTX 1060」もしくは「RX 570」となっているため、現行のミドルスペックなゲーミングPCが安全圏と言える。グラフィック面を妥協するのであれば、「GTX 960」クラスでもOKだ。
▲PCへの要求スペックはやや高め。最適化不足から来るスペック面の高さが気になる。
メインメモリの推奨搭載量は16GBで、OSに関してはWindows 10以上が必須。インストールサイズは現時点で20GBとやや大きく、この点については改善の余地がありそう。すべてのテクスチャーを高解像度で収録している作品に起こりがちなインストールサイズの肥大化に陥っているので、最適化が必要になるだろう。
【おすすめポイント】ミドルスペックPC推奨!
正式版への展望
2022年内の正式配信を目指していた『DID YOU SCARED』は、2023年になった現在でも「早期アクセス版」のままとなっており、開発が困難を極めていることが推測される。今後は追加コンテンツやマップ、アイテムの実装およびユーザーからのフィードバックを活かしたコンテンツの実装を掲げているが、先行きは不透明だ。
まず現状で実装されているプロップハント形式のプレイ要素を洗練しない限り、追加コンテンツなどを実装していくことはほぼ無意味と思われる。キャラクターの恐怖心を可視化できるシステムを取り入れるなど、本作だけのオリジナリティーと独創性を打ち出していくことが必須で、そこに作品の勝機があるはずだ。
▲かくれんぼ要素を「怖く」見せる要素が必要。上手く行けばホラーゲームファンの心を掴めるはず。
様々なマップを舞台に幽霊から隠れるプロップハントプレイを体験できるホラーアクションゲーム『DID YOU SCARED』は、現在「早期アクセス版」としてSteamで配信中。修正すべき課題が山ほど残されているタイトルだ。興味が湧いた人は今すぐストアにアクセスして、詳細なゲーム情報をチェックしよう。
【おすすめポイント】今後のアップデートに期待!
DID YOU SCAREDスペック/動作環境
動作環境 | 必須環境 | 推奨環境 |
---|---|---|
対応OS | Windows 10(64bit) | Windows 10(64bit) |
CPU | Intel Core i5-4460 | Intel Core i7-8700K |
メモリー | 8GB RAM | 16GB RAM |
グラフィックカード | NVIDIA GeForce GTX 960 | NVIDIA GeForce GTX 1070 |
VRAM | 2GB | 8GB |
HDD空き容量 | 50GB | 50GB |
DirectX | DirectX 11 | DirectX 12 |
備考 |
(C) AKIYAM.
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