イフの戦争を乗り越えろ!
2021/1/22にBattlefrontがリリースした本格3D軍事戦略シミュレーションPCゲーム。Steamでダウンロード販売しており、定価は6,290円となっている。
ロシアとウクライナの軍事衝突という架空戦争を舞台に、プレイヤーはひとりの指揮官として生きるか死ぬかの戦場に飛びこんでいく。大隊以下の部隊を上手に指揮してさまざまなミッションを達成しよう。
ニアピア(対等な力関係)国同士の戦争を克明に描いたシナリオも見逃せない。制作期間は10年を超えており、現実の情勢にも柔軟に対応した奥深い架空戦記に浸れるぞ。
重厚な軍事シミュレーションを遊んでみたい人におすすめのタイトルだ!
ロシアVSウクライナ。架空戦記に挑める軍事SLG
架空戦記というジャンルをご存知だろうか?
史実ではありえなかった「もしも」の歴史を想定し、それを元に架空の戦争を描く戦記モノの一大ジャンルだ。日本では第二次世界大戦をテーマにした漫画や小説の人気が高く、軍事マニアの間で人気を博しているぞ。
2021/1/22にSteamで販売を開始した『Combat Mission: Black Sea』は、そんな架空戦記ジャンルに一石を投じる本格3D軍事戦略シミュレーションだ。買い切り型のPCゲームであり、6,290円(定価)で購入できる。
開発をおこなったのは海外のデペロッパBattlefront。開発そのものは構想を含めれば2009年から始まっており、足掛け10年以上の月日を費やして世に送りだされたBattlefront渾身のタイトルである。
本作がとりあげる「もしも」は2017年の夏。もしロシアとウクライナがこの時に軍事衝突を起こし、全面戦争にまで発展していたらどうなっていたかを題材にしている。
ロシア軍がウクライナの領土に移動し、侵略を開始。ウクライナおよびNATO(北大西洋条約機構)はこれに対抗すべく部隊を配備し、泥沼の戦争が始まる…そんなイフから本作のシナリオは幕を開ける。
空想だからこそ許される残忍な展開や、戦争の真実を克明に描いた軍事ストーリーが満喫できるぞ。また「現代におけるニアピア(対等な力関係)国同士が全面戦争に突入したらどうなるか?」という命題にも深く切りこんだ意欲作でもある。
ちょっとやそっとの戦記ものでは満足できない人こそ楽しめるタイトルだ。開発期間およそ12年の重みを、ぜひ実際に遊んで確かめてほしい。
大隊以下のスケールで展開するターンベースシステムを極めよ
本作におけるプレイヤーの立場は、大隊(500人程度)以下の部隊を受け持つ指揮官だ。上層部から命じられるさまざまなミッションをこなしていき、戦況を有利に進めていこう。ミッションはメインシナリオに通ずる4つの大きなキャンペーンと、独立して楽しめる22のスタンドアローンシナリオがあり、文句なしのボリュームとなっている。
フィールドやユニットはBattlefrontオリジナルのゲームエンジンを活かしたシンプルな3Dグラフィックで描写。ゲームとしてのわかりやすさを重視しているため、余計な装飾はなし。純粋にシミュレーションに打ちこめるよう意識した作りとなっているぞ。
好きなミッションを受託すればいよいよゲームが始まる。本作のシステムはターンベース式のSLGであり、1ターンごとにゲーム世界で1分が経過していく。また、1ターンの間は敵味方両方がそれぞれのプレイングに基づいて行動するWEGO方式を採用している。
感覚としてはリアルタイムで進行するストラテジーゲームに近いので、敵の先を読んだうえで的確な判断をおこないたい。頭をしっかり使うゲームといえるだろう。
ミッションを達成できるか失敗に終わるかは、リアリティを追求した本作ならではの特殊な挙動を使いこなせるかで決まる。最たるものは砲撃のタイムラグだろう。たとえば既存の軍事ストラテジーゲームでは、砲撃支援を要求すればその瞬間に支援が開始されるものが多い。
だが本作では砲撃支援を計画しても、実際に敵軍へ攻撃するまでは「要請」→「砲撃を準備」→「試射をおこない着弾点を調整」→「攻撃開始」と4つのステップを踏まなくてはならないのだ。
もちろん時間はリアルタイムで経過するので、準備中に敵軍に移動されればせっかくの砲撃はパァとなってしまう。逆にいえば、敵の砲撃支援を回避する余地もある。
ほかにも「河川を越えて移動できる車両」「通信妨害による電子テクノロジーの無効化」「天候による戦力の変化」など、指揮官としては頭を悩ませるしかない要素が盛りだくさん。本物の戦場さながらの理不尽さが体験できるぞ。これらの障害すべてを踏み越えてミッションをクリアした時の達成感はたまらないのひと言だ。
戦争のリアルを徹底して突きつめたゲームデザインになっているので、臨場感とやりごたえに溢れる軍事SLGを遊びたい人におすすめの一本である。
プレイヤー対戦やDLCで広がる遊び方
よく作りこまれた軍事SLGである本作だが、1人プレイではどうしても飽きがきてしまうタイミングがある。そんな時は、プレイヤー同士での対戦モードやDLCの導入を検討してみよう。
対戦モードではオンラインで全世界のプレイヤーと直接対決が可能に。キャンペーン同様、受諾したミッションをどちらが達成できるかで雌雄を決しよう。顔もしらない強者と真剣勝負で白熱するのはもちろん、友だちと縛りを決めて制限対戦をするのも面白いぞ。
ひとりで本作を極めたいなら1,000円で追加購入できるDLCの追加コンテンツがおすすめだ。ロシア対ウクライナの架空戦争をさらに膨らませた新シナリオが追加されるぞ。ほかにも対戦向けの単独ミッションも6つ増えるので、対人戦が好きな人にもピッタリだ。
ここからはDLCでのみ遊べる特殊シナリオを簡単に解説しよう。
ストライカー旅団の突撃
アメリカ視点のシナリオ。ウクライナの侵略をたくらむロシアの前進を阻止すべく、NATOやウクライナとの共同作戦に挑める。アメリカ自慢の第2騎兵連隊をいかに扱うかで結果は大きく変わる。
Dniprodzerhyn'skからのプッシュ
侵略軍ロシアとして戦えるシナリオ。多種多様なライフルを装備した戦闘戦術グループを指揮し、南方からウクライナの首都キエフへ前進していく。
ウクライナ軍およびアメリカ軍との戦いは避けられないだろう。覚悟をもって挑んでほしい。
ロシア・ウクライナ・アメリカの部隊と武装を使いこなせ!
本作に登場する部隊や武装にはすべて元ネタが存在する。本作の主要国であるロシアとウクライナ、そしてアメリカの3国が実際に使用しているものを揃えているぞ。
シンプルだが克明な3Dで描かれる銃や近代兵器、そして兵隊を自分の意のままにあやつり勝利へ導く快感をぜひ味わってほしい。
また、部隊や武装といってもその種類は多岐にわたる。部隊ならば特殊部隊だけでなく機械化歩兵も使えるし、スナイパーのみで結成された小隊や偵察に特化した大隊といったエキスパート集団もより取り見取り。
武装はライフルやグレネードランチャーだけでも数えきれないカテゴリが存在し、さらに近代兵器の象徴である戦車や航空機も含めると全容を把握するだけで一苦労だ。ミリタリー好きには垂涎モノのラインナップになっているぞ。
12年の開発期間を費やしてリリースされた本作。ロシアとウクライナの架空戦争というニッチな視点を徹底的に掘り下げ、架空戦記の新境地を切り拓こうとした意欲作だ。
ゲームパートでは砲撃のタイムラグを筆頭に一筋縄ではいかない要素を多分に盛りこみ、やりごたえのある軍事SLGに仕上がっている。全編英語なのはハードルが高いが、その価値はあるといえるだろう。
ここまでで興味を持った人はぜひ『Combat Mission: Black Sea』でイフの戦争にチャンレジしてみよう!
Combat Mission Black Seaスペック/動作環境
動作環境 | 必須環境 | 推奨環境 |
---|---|---|
対応OS | Windows 10(64bit) | Windows 10(64bit) |
CPU | Intel Core i5-7500 | Intel Core i7-8700K |
メモリー | 4GB RAM | 8GB RAM |
グラフィックカード | NVIDIA GeForce GTX 1050 | NVIDIA GeForce GTX 1660 Ti |
VRAM | 1GB | 4GB |
HDD空き容量 | 10GB | 20GB |
DirectX | DirectX 11 | DirectX 12 |
備考 | インターネット接続が必要 |
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