2019/3/26からSTEAMで正式配信が開始されているDeep Silverの購入型PCゲーム。ファンタジー世界を生き抜く「一般市民」として過酷な冒険を続ける没入型サバイバルRPG。
平凡な住人が主人公になるという発想、分割画面を利用した協力プレイ、ハードコアなゲーム仕様が大きな魅力で、「勇者」として無双バトルを繰り返しながら探索を続けるプレイに飽きてきた人、ハラハラドキドキの冒険世界を探索してみたい人、上級者向けのRPG作品にチャレンジしたい人におすすめ。
NPCの気分を味わえるRPG!
現在PCゲームのポータルサイト「STEAM」で好評配信中の『Outward』は、ファンタジー世界を舞台としながらもプレイヤーが操作する主人公が「英雄」ではなく「一般人」という風変わりな設定を持つ作品。RPG作品でよく目にする「NPC」の立場になってプレイできるおすすめPCゲームだ。
プレイヤーの分身として冒険する主人公はごく普通の住人。モンスターや危険生物も存在するファンタジー世界「オーライ」で生きる主人公は、一族が残した負の遺産「借金」を返済すべく冒険へと旅立つことになる。「世界平和」や「魔王討伐」などの大義ではなく、生々しい「個人的な理由」からスタートする点が面白い。
▲自分がファンタジーRPGの世界に放り込まれたらどうするか。そんな疑似体験をさせてくれるPCゲームだ。
「あなたは神でもなければ選ばれた者でもない」と宣言される本作の世界観は、ファンタジー世界を限りなく「リアル」に描くとこうなる、という壮大な実験場に近い。ゲームをスタートさせたばかりのプレイヤーには華麗な剣技も魔法の力も無く、何かあればすぐに死亡してしまう「か弱き存在」だ。
オープンワールドで再現された「オーライ」の世界には一般的なRPG作品と同様素晴らしいロケーションに恵まれ、人間以外の多彩な生物たちが生息している。通常のRPG作品であれば半ば「観光気分」でロケーション巡りを楽しめるところだが、常に死と隣り合わせにある本作の主人公にはそんな余裕は一切ない。
▲最新ゲームらしいゴージャスなグラフィックは圧巻の出来栄え。空気感すら感じるリアリティーが凄い。
サバイバルゲームでは定番の「空腹」要素も最初から実装されている本作は「生き抜くことの難しさ」を痛感する作品。プレイヤーはただの冒険家として脅威となる生物から身を隠したり防御しつつ危険な環境に立ち向かい、恐ろしい感染症からも身を守りつつ、睡眠や水分補給を維持する必要があるのだ。
超人的な能力を持たない一般人としてのロールプレイはスリリングな体験の連続で、ハードコアな設定は完全に上級者向け。辛い序盤を乗り越えて命を繋いだプレイヤーにだけ「面白さ」が分かるストイックなPCゲーム作品となっており、プレイ中には都合の良い「救済措置」などは一切発生しない点は覚悟しておこう。
▲特別な存在ではないという言い知れぬ不安。だがそれがプレイヤーの「生存本能」を大いに刺激してくれる。
手応え満点の難解なゲームシステムが好きな人にはおすすめの作品で、思うようにならない状況を楽しむ余裕がある人であれば最高のゲーム体験を享受できるはず。反対に各種オート機能や無双バトルに慣れてしまった人にとっては苦痛でしかない。プレイするユーザーを選ぶPCゲーム作品と言えるだろう。
なおSTEAMストアでは日本語UIと字幕に対応と表示されているが、現時点では不具合によって言語表示が選択できない。購入を考えている人はこの点にだけ注意しておこう。なおSTEAMストアでの販売価格は4100円で、部分的にコントローラーでの動作もサポート。語学力がある人にはおすすめの作品だ。
【おすすめポイント】 ハードコア仕様の激ムズサバイバルRPG!
分割画面協力プレイに対応!
『Outward』はこのジャンルの作品としては珍しく「分割画面」を利用した協力プレイに対応。仲の良いフレンドと一緒に画面を共有しながら冒険を進められるようになっているので、1人では寂しいという人も安心。本作固有の「難しさ」も、友人と一緒に分かち合えば「楽しさ」に変換できるはずだ。
マルチプレイを選択すると画面が上下に分割。フレンドの冒険を見ながら自分も冒険を進められるシステムが秀逸で、お互いに連絡を取り合えば「助け合い」でゲームを進行できて便利。アクションゲームやバトルゲームとは違い、長時間プレイするRPG作品であるため「時間を合わせる」ことが難しいが、この試みは面白い。
▲没入型RPG作品の場合ソロ向けであることが圧倒的に多いが、本作はその概念を破って協力プレイを可能にした。
マルチプレイはローカルとオンライン両方に対応。MMORPG作品のように多人数プレイヤーが同時にプレイすることはできないが、ソロでプレイするよりは仲間がいた方が良いと考えている人にとってはありがたい仕様と言える。一緒に激ムズプレイ体験を共有し、『Outward』の世界を探検してみよう。
【おすすめポイント】 フレンドと一緒に冒険できるPCゲーム!
現実的な重量制限に注意!
『Outward』で現実世界と同様の「リアル」を最も痛感する部分が所持品の制限。本作には厳しい所持品携行の制限があり、手に入れたアイテム全てを持ち運ぶことはできない。また入手するバックパックの大きさによって運べるアイテム数や外見が変化するので、リアルなロールプレイを味わえるぞ。
現在に至るまでRPG作品では「所持品の嘘」がお約束となっており、主人公の外見に一切の変化を及ぼすことなく多数の所持品を持ち運べるゲームが多い。本作はこの「お約束事項」にあえてメスを入れ、現実世界と同様の所持数制限を課しているのだ。むやみにアイテムを増やせないので注意が必要だぞ。
▲「そんなに持ち運べるか?」というRPG作品へのツッコミに対する返答とも受け取れる現実的な設定が秀逸。
本作に登場するアイテムは多岐に渡り、クラフトによって別のアイテムを作成することもできるため、アイテムの価値が分からないと取捨選択に苦労する。したがって大きめのバックパックで旅したいところだが、大型バックパックは容量が多い分動きが鈍くなるため、バトル時の回避行動に影響を与えてしまう。
洞窟を発見した際には敵とのバトルに備えて入り口付近にバックパックを置いてから探索するなど、本作では極めて現実的な荷物運びを考えなくてなならない。ファンタジーRPG作品では異例中の異例とも思える厳しい重量制限システムだが、それが本作を特別な作品にしていることもまた事実だ。
▲何が重要で何が不要か。本作をプレイすると様々な場面での取捨選択について深く考えさせられる。
クエストをこなすというゲームの大まかな流れはあるものの、そこに到達するまでのプレイスタイルはプレイヤーの裁量に任されている部分が多いため、これが正解という単純明快な攻略法は存在しない。自分ならこの世界でどう生きていくか、という指針を打ち立てながらプレイしていけば、自分だけの「正解」が見えてくるだろう。
【おすすめポイント】 リアルな設定で没入感満点!
苦難の先にこそ喜びがある
RPG初心者にとってはかなり敷居が高い作品と言える『Outward』だが、プレイヤーが操作する主人公にも救いはある。クエストを進めていくことで人々の悩みや問題を解消し、感謝される展開もきちんと用意されているのだ。つまり限りない努力を重ねた結果、主人公は世界の役に立つ人物へと成長を遂げる。
ファンタジーRPG作品の世界をリアルに再現するとどうなるか、というシミュレーション的側面を持つ『Outward』は、一言で表すと「ハードコアRPG」。ファストトラベルも一切できないため、生半可な気持ちでプレイしていると高確率で挫折する。ただその苦難を乗り越えた際の喜びは何ものにも代え難い。
▲クエストは成功率によって報酬アイテムが変化。最高の条件でクリアできれば見返りも大きい。
魔法を学ぶためには1から勉強しなければならないなど、本作のプレイには「近道」が存在しない。これをどう受け止めるかによってプレイヤーの満足度は大きく変わってくる。苦行に近いゲームプレイを完遂し、自分のような立場にある人々に感謝されるようになれば、主人公は真の意味でNPCの立場を脱することだろう。
ハラハラドキドキするロールプレイを楽しみたい人は、本作をプレイしてガチなRPG世界を存分に味わおう!
【おすすめポイント】 ハードコアな展開を求める人におすすめのPCゲーム!
Outwardスペック/動作環境
動作環境 | 必須環境 | 推奨環境 |
---|---|---|
対応OS | Windows 7(64bit) | Windows 10(64bit) |
CPU | Intel Core i5-750 | Intel Core i5-2400 |
メモリー | 4GB RAM | 8GB RAM |
グラフィックカード | Nvidia GTS 450 | Nvidia GTX 960 |
VRAM | 1GB | 2GB |
HDD空き容量 | 15GB | 15GB |
DirectX | Version 11 | Version 11 |
備考 | インターネット接続は必要ありません |
©Nine Dots Studio, 2015. Published 2018 by Koch Media GmbH. Deep Silver is a division of Koch Media GmbH, Austria.
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