『This War of Mine』は、ポーランドのゲーム開発会社である11 bit studiosより2014/11/15からSteamでリリースされ、2015/7/14にはAndroid版、その翌日にはiOS版も配信スタートした。さらに2018/11/27にはNintendo Switch版が発売されるなど、多数のプラットフォームでサービスが開始されている、戦争の中を一般市民となって生き抜くサバイバルゲームだ。
戦争の中をエリート兵士となって敵を倒しまくるゲームはたくさんある。だが、本作のように弱者となって、敵に包囲された状況で、銃もろくに使えないような一般市民が生存するために奮闘するゲームはかなり珍しい。
食料や医療品も不足した状況で、敵対するスナイパーやスカベンジャーに命を狙われ続ける中での生活を強いられる。戦争の悲惨さをまったく違う方向から感じ取ることができるだろう。絶体絶命の状況で生き抜いていきたい人におすすめのサバイバルゲームだ!
実際の戦争経験から生まれた斬新な設定!
本作は1992~1996年に起きた「ボスニア戦争」中の「サラエボ包囲戦」に触発されて開発されたゲームになっている。戦争で荒廃した架空の「都市グラズナビア」にあるPogorenの仮設避難所の民間人としてスタートする。普通の戦争モノのゲームであれば、プレイヤーの分身となる主人公はどんな兵器でも軽々と使い、多少の弾丸を受けてもすぐに立ち上がり、勇敢に戦闘を始めるある意味エリート兵士ばかりだ。
しかし、本作の主人公となる12人のキャラクターは、戦争の巻きこまれただけのただの民間人であり、戦い方はおろか、緊急時の生き抜くための術さえも知らない様な状況にある。そんなキャラたちを操って、プレイヤーはランダム化された期間後に発生する「停戦の宣言」まで生き抜かなければならない。
12人のキャラには戦闘や移動速度などを含め、それぞれに個性・特技が備わっている。例えば、「ブルーノ」というキャラは、「グッドクック」を持っており、これは優れた調理スキルだ。
料理をするときに、燃料と水の使用量を減らすことができるなど、特定の状況で強くなる。また、反対にデメリットとなる部分も持っており、特定の状況で弱くなるなど、肝心なときにアクションができないこともある。特定の日だけ役立つという変わったスキルも存在するので、長所と短所をしっかりと見極めていこう。
もちろん、スキルが良ければ簡単になると言うわけでもなく、サバイバーとして一緒にいる人間が1~4人だったりと、ゲーム開始時の状況も変わってくる。スキル選びも大事だが、初期状態も見落としてはいけない。
全てのキャラでプレイヤーは日々の危険を乗り切るために、多くの厳しい決断を迫られることになるだろう。しかも、12人全てで遊べるようにそれぞれで固有のマルチエンディングも用意されている。プレイヤーの決断でどんな結末を迎えるのかも楽しみながら遊んで欲しい。
生活必需品を集めながらシェルターを改造していこう!
本作では、とにかく戦争が終わる「停戦の宣言」まで生き抜く必要がある。それがゲームの目的でもあり、全てだ。死んでしまっては何も残らない。キャラには「健康」「空腹」「気分」のゲージがあり、それを快適に維持するのもプレイヤーの仕事だ。
「昼」と「夜」の周期でゲームが進行し、昼間は常に狙撃兵に見張られている。もしも、昼間に移動しようとすれば、すぐに見つかって殺されてしまうだろう。夜になって見張りが落ち着いてからようやく行動開始だ。夜間をうまく利用して、生き抜くためには生活に必要な食料などの物資を集めなければならない。プレイヤーは物資を集めるスカベンジミッションに挑戦して、毎日の生存に役立つ貴重なリソースを探す機会が与えられる。
しかし、気をつけなければならないのが、同様に夜間に歩き回って食料などを探している他の人たち(NPC)だ。こちらに敵意がなくても場合によっては襲われてしまう。反対に友好的な人々であれば、食料や医薬品の贈与の機会を与えてくれる。
基本は物々交換になるのだが、このゲームの面白いところは、略奪するコトもできるところだ。しかし、前述したようにプレイアブルなキャラたちはエリート兵士でもなければ、殺すことに長けた人間たちではない。悪いことをすれば、当然、しばらくの間は気分が落ち込んでしまう。
楽して物資を手に入れた分だけ、別の部分で苦労するようになっている。だが、緊急時には無抵抗な人々を殺してでも、物資を手に入れる必要が出てくるだろう。これは非常に面白い。プレイヤーは起こしたアクションによってエンディングが変わるとなればなおさらだ。
食料の問題や個人間のいざこざなど、人が集まった場所では常にトラブルに見舞われる。プレイヤーは全員を助けるために動くか、誰かを犠牲にして確実に何人かは助けるかを選ばなければならなくなる。この選択が非常にシビアで面白い。
物資を手に入れたら、狙撃手から身を守るために、避難場所であるシェルターをアップグレードしたり、食べ物を調理したり、傷ついた人を癒したりできる。動ける人が多くなれば、まとまった資源を集められるようになっていく。
作れるモノはかなり多く、「武器」「アルコール」「ベッド」「ストーブ」など、生き抜くのに役立つモノは何でも作れるようになっている。中でも面白いのがシェルター内でラジオを構築できるところだろう。ラジオは「天気予報」「市の経済状況」「進行中の戦争状況」など、有用な情報をニュースなどで提供し、適切なシェルターのアップグレードと清掃ミッションを計画できるようになる。やれることが一気に増えていくので、ラジオは早めに導入しておきたい。
昼と夜をうまく使って、収集と作成を行いながら、プレイヤーは環境を少しずつ改善していき、戦争が終わる日まで生き抜いていこう。
広がり続けるThis War of Mineの魅力!
本作はゲームを始めるたびにローグライクのように世界観とキャラがランダムで構築される。同じキャラでなんどでも遊べる環境が素晴らしい。さらにグローバル・リリースから2年以上が過ぎても、未だに開発を継続している。アップデートで色々なものが追加されたり、有料のダウンロードコンテンツ「This War of Mine: Complete Edition」では新キャラクターや新ロケーション、まったく新しいエンディングも追加されているほどだ。
新キャラクターには小さな子どももいて、大人のキャラでは当たり前の様にできていたことができないような設定になっている。さらに子どもだけに気分が変わりやすく落ち込みやすいので、常に気をつけておこう。
他のサバイバーである大人たちと一緒に眠るには、「料理」「水のろ過」「作物を育てる」などの小さな雑用をこなす必要があり、慣れないうちは中々ハードルが高い。長く本作を遊ぶつもりなら、セットパックを最初に購入しておいた方が安上がりとなる。
スマホ版でもパソコン版と同じゲームシステムになっているので、どこでも手軽に遊びたいならスマホ版もありだろう。音声は英語のみだが、字幕の対応言語も多く、英語、フランス語、ドイツ語、ポーランド語、ロシア語、イタリア語、ポルトガル語、スペイン語、韓国語、トルコ語、中国語、そして、日本語だ。
戦争の悲惨さを描きながら、生きることと選択することの重要さを痛いほど教えてくれる本作。世界のどこかではこれだけ過酷な環境で必死に生きようとしている人がいる。もしも、戦争に巻きこまれてしまったらと考えると、ゲームするリアルな生活とかけ離れている世界観に圧倒されるだろう。戦争を疑似体験できるおすすめの本格サバイバルゲームだ!
This War of Mineスペック/動作環境
動作環境 | 必須環境 | 推奨環境 |
---|---|---|
対応OS | Windows 7/8/10 | Windows 7/8/10 |
CPU | Intel Core 2 Duo 2.4GHz, AMD Athlon X2 2.8GHz | Intel Core i3, AMD A10 |
メモリー | 2 GB RAM | 4 GB RAM |
グラフィックカード | NVIDIA GeForce 9600 GS, Radeon HD4000, Shader Model 3.0 | NVIDIA GeForce GTX 260, Radeon HD 5770, Shader Model 3.0 |
VRAM | 512 MB | 1 GB |
HDD空き容量 | 5 GB | 5 GB |
DirectX | DirectX 9.0c | DirectX 9.0c |
備考 |
© 11 bit studios S.A
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