『Crime Boss: Rockay City (クライムボス:ロッケイシティ)』は、2024/6/18からSteamストアで正式配信されている開発:INGAME STUDIOS、パブリッシング:505 GamesのPC向けゲーム作品で、1990年代をイメージした架空のアメリカ都市を舞台に、犯罪者の頂点を目指しながら活動を繰り広げていくクライムアクションゲーム作品。
没入感を高めていくファーストパーソンビュー(一人称視点)の採用、主人公の「トラビス・ベイカー」として犯罪都市で成り上がっていく世界観、縄張り争いや強盗などの犯罪を行いながら頂点を目指すプレイスタイル、ソロプレイ以外にオンラインで最大4名のプレイヤーが一緒に活動できるマルチプレイモードの実装が大きな特徴。
ゲームの中で犯罪行為を行えるスリリングなクライムアクションゲームが好きな人、オンラインゲームで親しいフレンドユーザーたちと一緒にPvEに触れながら遊べるゲームを探している人、アメリカの危険な闇を描き出すセンセーショナルなゲーム作品を求めている人、ゲームでスリルと興奮を味わいたいと考えている人におすすめの新作。
- ド派手なクライムアクション
- 4名のCO-OPに対応
- リプレイ性抜群
アメリカが舞台のクライムアクションゲーム
現在PCゲームのポータルサイト「Steam」ストアで好評配信中の『Crime Boss: Rockay City (クライムボス:ロッケイシティ)』は、アメリカのフロリダ州を舞台に「犯罪者」として活動できるおすすめの新作ゲーム。すでに他プラットフォームでリリース済の作品だが、この度待望のSteamバージョンが登場する運びとなった。
本作が世界に向けてリリースされたのは2023/3/28で、PC版以外に次世代機のPS5、Xbox Series X|S向けにも配信されているマルチプラットフォームタイトル。ゲームの開発には世界的に有名な3DCGツールの「Unreal Engine 4」が用いられており、舞台となる架空の犯罪都市Rockay City (ロッケイシティ)をリアルに再現している。
プレイヤーはこの危険な都市で犯罪者の頂点を目指す人物としてゲーム世界へと降り立ちながら、迫力満点のファーストパーソンビューを用いてアクションを起こしつつ、潜入や盗み、抗争や強盗などのバリエーション豊富なミッションに挑んでいくことになる。闇の世界で「ナンバーワン」を目指すという世界観設定が秀逸なタイトルだ。
記事執筆時点でSteamストアには合計608件のユーザーレビューが寄せられており、その総評は「非常に好評」と順調な出だしを見せている。2023年に発表当時には賛否両論のレビューで荒れた経緯を持つ作品だが、その批判的な意見やレビューについては、後述する総評で細かく取り上げながら検証していきたいと思う。
『Crime Boss: Rockay City (クライムボス:ロッケイシティ)』を開発したのは、インディーゲームデベロッパーの「INGAME STUDIOS」で、パブリッシングはミラノに拠点を構えているベテランスタジオの505 Games。確かな実績を持つパブリッシャーが手掛ける新作PCゲーム作品で、安心しながら遊べるアドバンテージもある。
ゲームの基本は「4名のメンバーによるミッションへの挑戦」で、作品はソロプレイ以外にオンラインでのマルチプレイに対応。ソロでプレイする場合には他の仲間キャラクターをAIが操作し、CO-OPでプレイする際には親しいフレンドユーザーや世界のプレイヤーが味方になって「PvE」要素を楽しめるようになっているぞ。
現実世界で実行すると間違いなく命を落とすか刑務所で生涯を終えるような「危険な生き方」に惹かれてしまう、という人にもおすすめできる作品で、ワルの魅力を存分に味わいながらプレイを堪能できるはず。マルチプレイ時にはマイクでお互いに交信しながら遊ぶこともできるので、ノリノリでゲームを体験しながら遊べるだろう。
『Crime Boss: Rockay City (クライムボス:ロッケイシティ)』の世界観
前のクライムボスが死んだことで、街を支配するチャンスが訪れた!フロリダ州、ロッケイシティへようこそ。ここはおもしろいキャラクター達や90年代のギャング・ポップカルチャーがあふれる街。裏社会の注目株、トラビス・ベイカーとなり、シングルプレイヤーのローグライト・キャンペーンにチャレンジしよう。
ハイストでキャッシュを稼ぎ、チームを組んでライバルの縄張りを奪って、ロッケイシティの王となれ。全ての戦略的判断には結果がある。だが失敗したからと言って終わりではない。そのまま使えるバフ・カードを解除して、次のプレイを有利に進めよう。ノーリス保安官の捜査が完了する前に、君は街を支配できるだろうか?
ゲームの特徴と魅力
90年代に話題を読んだクライムアクションムービーの世界観を意識しながら開発されたという『Crime Boss: Rockay City (クライムボス:ロッケイシティ)』は、1995年に公開された映画『ヒート』に登場する設定やシーンと似た展開が起こることもあるため、同作のファンであればノリノリで遊べるようになるだろう。
現代ではなく、あえてゲーム内の時代を90年代に設定している点が特徴で、プレイヤーはシングルプレイヤーのローグライト・キャンペーンで街を支配しながら、オンライン協力プレイのマルチプレイヤー・ハイストにも挑戦して、犯罪者の王として街に君臨するプレイ要素を大いに楽しめるようになっている。
ちなみにゲームの舞台となっている架空の犯罪都市「ロッケイシティ」には、伝説のドラマとして高評価を獲得している『マイアミ・バイス』を彷彿とさせる描写もあり、海外で製作された犯罪系のドラマや映画を知っている人ほど「元ネタ」を探る楽しみが生まれてくる仕組み。開発メンバーがこれらの作品のファンなのだろう。
ゲーム的な類似点としてはロックスターゲームスの代表作である『グランド・セフト・オート』シリーズや、銀行強盗アクションをCO-OPで遊べる『ペイデイ』などの影響も感じられるため、同シリーズで遊んだことがある人にもおすすめできる作品と言えるかもしれない。ゲームのアートワークにもGTAシリーズらしい影響が窺える。
プレイ面ではランダム要素が多い「ハイスト(強盗)」ミッションにリプレイ性が生まれており、銃器を用いながら正面からの強行突破を目指すのか、それとも用意周到に見つからないような行動を取って穏便に事を進めていくのか、プレイヤーの選択肢が活かせる作りになっている。様々なアプローチを試せる必見のゲームタイトルだ。
ゲームで遊べるモードにはビッグハイストやミディアムハイスト、複数のクイックジョブ、縄張り戦争などの種類が存在し、プレイヤーの腕前に応じて難易度を3段階で調節することも可能。ゲームに慣れてきたら徐々に難易度をアップさせて、ソロとマルチプレイに分かれるモードを遊び尽くしながら本作の魅力を味わい尽くそう。
カスタマイズ面では、シングルプレイヤーとマルチプレイヤーのミッションをクリアして獲得した「XP」を使うことで武器や装備、スキンやチームメイトを解除できるようになっている。繰り返し遊ぶほどにキャラクターを自分好みにカスタマイズできるようになっていくため、長時間夢中になって犯罪アクションに打ち込めること請け合いだ。
ゲームに俳優が多数出演している点も作品の大きな魅力で、主人公のトラビス・ベイカーを演じているのはマイケル・マドセン。さらに仲間キャラクターにはマイケル・ルーカー、キム・ベイシンガー、ダニー・グローヴァー、ダミオン・ポワチエなどの面々が参加しているハリウッド映画好きな人にもハマる作風だ。
本作が大きな影響を受けていると考えられる『グランド・セフト・オート』シリーズにも、キャラクターの外見を形成するためにモーション・キャプチャーを行った俳優が存在しているが、本作の場合には世界的にも名前の通った役者を採用している点で違いがある。上記俳優や女優のファンにも見逃せないおすすめのPCゲームと言えるだろう。
ゲームに実装されているオンラインマルチプレイモードで体験できるのが「PvE」だけという点も特徴で、色々と面倒な問題を起こすことが多い「PvP」を排除しているため、安心しながらマッチングできるという利点がある。クライムアクションゲームのPvPは荒れがちになりやすいため、これは嬉しい配慮と言えるかもしれない。
Unreal Engineで開発されている本作のプレイ画面はかなりの美しさを誇り、没入感満点に遊べる点もポイント。透過形式でキャラクターを見ながら行動できるインターフェースも分かりやすく、マップ構造を熟知しながらプレイを進めていく面白さもある。端的に言えば「リプレイ性」をかなり考慮したレベルデザインを持つ新作だ。
日本語インターフェースに対応
Steamストアでの販売価格は2,300円で、現在は「リリース記念セール価格」となる20%OFFの1,840円で購入できる(2024/7/12までの期間限定価格)。作品は標準で日本語インターフェースと字幕をサポートしており、海外のゲーム作品が苦手な人でも遊びやすい。ちなみに音声は英語一択となるが、このほうが雰囲気も出るはずだ。
Steam版の本作にはCrime Boss: Rockay City - Cagnali's Order, Crime Boss: Rockay City - Dragon's Gold Cup, Crime Boss: Rockay City - Heavy Hitters Pack, Crime Boss: Rockay City - Tactical Weapon Packに分かれるダウンロードコンテンツが同梱されているので、後発ながらお得感もあるゲームになっているぞ。
ちなみにこのダウンロードコンテンツ同梱は「期間限定」で行われる予定であり、今だけのチャンスとなっている。明確な終了時期に関しては未定ではあるが、後々これらのバンドル製品が有料化されると非常に「損をした」気分になってしまうと思われるので、ゲームが気になる人は今のうちにゲットしておくと後悔しないはずだ。
Valveの携帯ゲーム機「Steam Deck」との互換性判定は「プレイ可能」。完全な互換性を獲得できなかった要因はテキストフォントサイズの小ささで、Deckで遊ぶ場合には一部のテキストが判読できないほど小さく表示される可能性がある。Steam Deckユーザーはこの点に十分に注意しながら購入を検討すると良いだろう。
解除できるSteam実績は45種類と非常に豊富。これまで自分が購入した全てのゲームで実績を解除してきた経歴を持つ「実績ハンター」の人にもおすすめできるアクションゲームタイトルで、ソロとマルチプレイで連日プレイを続けながら、ゲームに実装されている全Steam実績の解除を目指していくのも面白いはずだ。
システム要件
『Crime Boss: Rockay City (クライムボス:ロッケイシティ)』のシステム要件は中程度からやや低め。推奨要件で提示されているグラフィックボードはNVIDIAのGTX 1070もしくはAMDのRadeon RX Vega 56、IntelのArk A770クラスのパーツとなり、VRAM搭載量に関してはそれぞれ8GB/8GB/16GBが要求されることになる。
最低要件で提示されているグラフィックボードはNVIDIAのGTX 1650もしくはAMDのRadeon RX 570で、要求されるVRAM搭載量はそれぞれ4GBとなっている。現行のローエンドからミドルスペック帯にあるゲーミングPCを持っていれば十分に遊べる作品であり、グラフィック描画の「最適化」が上手く行われている印象だ。
CPUの推奨モデルはIntelのi5-10600KクラスもしくはAMDのRyzen 5 3600XTクラスとなり、最低動作環境で提示されているモデルはIntelのi7-4790KもしくはAMDのRyzen 5 1600クラスのプロセッサーになる。CPUの面では参入の敷居が低めになっているが、Direct Xのバージョンは「12」なので、この点には注意しておこう。
Direct Xはマイクロソフトが開発したマルチメディア処理用のAPI集合体で、互換性のあるPC上で高速なレンダリングを可能にするなどの特性を持つ。バージョン12は「Windows 10」以降のOSのみで動作するものなので、自環境のOSバージョンが8.1や7の人は詰む。プレイしたい場合にはOSのバージョンを10か11まで上げよう。
なお、フルHD以上、WQHDや4Kモニターをネイティブ解像度で利用する場合、その解像度に応じてグラフィックボードには負荷がかかっていくため、推奨要件で提示されているグラフィックボード以上の性能を持つパーツを用意しておくと安心。グラフィック品質を最高設定にしてfpsを安定させたい場合にも、パーツの性能が問われるぞ。
またゲームのプレイ動画をリアルタイムで実況配信することを考えている人は、CPUのモデルを高性能なものへと置き換えることも検討して欲しい。基本的にゲーム映像を処理しながら配信するアクションはプロセッサーの処理性能へ大きな負担をかけることになるので、各所で最適な推奨モデルを見て購入を検討すると良いだろう。
90年代をイメージした架空の都市を舞台に、犯罪者の頂点を目指しながら活動を繰り広げていくクライムアクションゲーム『Crime Boss: Rockay City (クライムボス:ロッケイシティ)』は、現在Steamストアで好評配信中。遅れてSteamバージョンの配信が始まったタイトルではあるが、ユーザーからは高評価を獲得している。
現実世界では決してやってはいけない犯罪行為の数々をリアルなファーストパーソンビューで体験できる点が魅力で、海外ドラマや映画のようにダイナミックなアクションシーンを経験したい人には断然おすすめの作品となっている。興味が湧いた人は今すぐSteamストアへアクセスして、ゲームの詳細情報をチェックしよう。
【おすすめポイント】犯罪王になれる新作アクションゲーム!
総評:オリジナルではないアイデアを許容できるか
『Crime Boss: Rockay City (クライムボス:ロッケイシティ)』は、様々なカルチャーの集合体と言える新作PCゲーム。作品の世界観には90年代に誕生したクライムアクションムービーからの影響が窺える上、そのビジュアルスタイルやゲームシステムには、特定の人気クライムアクションゲームから受けた影響が見え隠れする。
ゲーム作品、特に近年誕生しているゲームには、大きく分けて3つのベクトルがあると思う。1つは個人制作でゲームを生み出しているインディーゲームデベロッパーのゲームに多い「完全オリジナルな作風」で、もう一つは「どこかで見たような、プレイしたような気がする作風」。そして「セルフカバー的な雰囲気を持つ作風」だ。
現在ゲームは「ジャンル」によって定義・支配されていると言っても過言ではない状況になっている。アクションゲームの中にも「FPS」「サバイバル」「オープンワールド」「クライム」「メトロイドヴァニア」「ホラー」などのサブジャンルが生まれており、特定のファン層を狙って作品を開発する上での大きな手がかりとなっていく。
大手のゲーム企業にもなると、ここに「市場分析」などのアナリスト的な見地も入り込み、「今はこのジャンルが盛り上がっているので、これだけの売上を確保できるはず」といった分析も行われつつ開発が進められていく傾向が強い。ジャンルには当てはまらない「特定のコンテンツ」も流行していれば模倣されることもあるのが現状だ。
重役なども出席するゲーム製作会議で、開発メンバーたちが自らの新作ゲーム開発に関するデータを提示する場合、最も簡単に稟議が通るのは2つ目のベクトルである「どこかで見たような、プレイしたような気がする作風」で、過去に自社でヒットした作品があれば、そのゲームをリメイクして今風に作り直す第3の選択肢も生まれていく。
売上の数字にうるさい企業であるほど製品に「何らかの担保」を求めたがる傾向が強く、そこで「完全オリジナルな作風」を持つゲームは却下される可能性が高い。最近のハリウッド映画も似たような作品が多く、また過去作のリバイバルやリメイクも非常に多いが、エンターテインメント業界は往々にベクトル2と3を取る流れを持っている。
つまり現状の大手ゲーム業界には「新鮮な驚き」をもたらすゲーム作品が生まれにくいという悲惨な現状があり、真にユニークな作品は「会議を通さない」個人のインディーゲームデベロッパーから生まれることが多い。上層部に対してお伺いを立てることなく行動できる点にはリスクもあるが、成功した際の名誉は計り知れない大きさだろう。
では『Crime Boss: Rockay City (クライムボス:ロッケイシティ)』を生み出したINGAME STUDIOSは、どんな状況下で本作を開発していったのだろうか。本作を開発しようと考えたメンバーたちは、自分たちが影響を受けたサブカルチャーが持っているものを比較的素直にゲームへ反映した印象を受けるが、その真意をここで考えてみたい。
INGAME STUDIOSはチェコに拠点を構えているインディーゲームデベロッパーで、従業員数は約70名あまり。これまでにVietcong、Hidden & Dangerous 2、Mafiaシリーズ、Armaシリーズ、Kingdom Come Deliverance、Dead Trigger、Shadowguns シリーズ、UFO、Silent Hill: Downpourなどの製作に関わってきた経歴を持つ。
スタジオの公式サイトには4つの理念が書かれている。1つ目は「チェコ共和国で最高、ヨーロッパで最高、そして世界で最高になることを目指す」というもので、2つ目は「明確な創造的ビジョンを持ち、チーム全員と直接コミュニケーションを取る」というもの。この2つについてはいかにも立派な心構えであり、何も文句は出てこない。
理念の3つ目は「事業は、個人の所有権と責任に基づいて、安定した資金、開発ノウハウ、実績のある開発計画の専門知識によって推進される」というもの。そして4つ目は「私たちのゲームは、最高の商用エンジンとツールセットであるUnreal Engineで構築されています」というものだ。ここで「ん?」となるのは筆者だけだろうか。
ここまで見てきたスタジオの理念には「オリジナル」という文言は一切含まれておらず、3つ目の理念を端的に解釈すると「納期内に仕事を終わらせます」と言っているに過ぎない。そして4つ目の理念は製作する環境に言及しているだけであり、どのツールを用いるかは「ゲームの面白さ」を決定することには関係がない点に注意が必要だ。
つまるところINGAME STUDIOSは下請け業者のようなもので、彼ら自身が上記に列挙したゲームを主導して作り上げたわけではない。本作に関しては最初から最後まで彼らが生み出したと言えるが、それ以外の経歴はほぼ「サポート役」であり、3つ目の理念は「パートナー企業に向けた声明」であることが分かるのではないだろうか。
「完全オリジナルな作風」を生み出す先鋭的かつ独創的なインディーゲームデベロッパーの多くは、自らの開発・経営理念に必ず「自分たちが面白いと思うゲームを作っています」と書き記すはず。それが彼ら最大のアイデンティティーであり、大手企業に属しながら納期を守って働いている人間とは正反対の思想と行動原理だ。
ここまでを総括すると、INGAME STUDIOSはまず「完全オリジナルな作風」とは無縁な環境で発展していったスタジオであり、それは企業理念から見て取れる。そして本作『Crime Boss: Rockay City (クライムボス:ロッケイシティ)』にはオリジナルなシステムやアイデアは存在せず、すべてがどこからか借用したものになる。
こういったゲームの開発姿勢を一方的に責めるつもりはないが、本作は予算に応じて「世間で売れそうなゲームは何か」を会議の遡上で推敲しながら製作が進められたゲーム作品であり、そこには「打算」「損得勘定」もしっかりと組み込まれている。そして彼らの目論見通り、元ネタのゲームが好きな人が興味を惹かれている状況だ。
よくゲーマーの間で話題になる会話に「〇〇みたいなゲームない?」というものがある。これは自分が好きなゲームを遊び倒し、その後似たようなゲームへと興味が移っていった際に起こることだが、真に面白いオリジナルなゲームの場合、こうした「浮気」にも似たような思考回路は生まれないと思う。何故なら本物は飽きないからだ。
本作について厳しく言うのであれば、強盗アクションを楽しみたい場合には『ペイデイ』シリーズをプレイすれば良いし、クライムアクションゲームらしい面白さを実感したい場合には『グランド・セフト・オート』シリーズ、特にオンラインのマルチプレイモードで遊べば良い、ということになる。これらは代替品を必要としない作品だ。
類似品が多く登場するほどに「本物の価値」が薄れていくと考える人がいるが、筆者の考えは異なる。「偽物が出てこそ本物」であり、人気ゲームはその作風や雰囲気を「パクられる」宿命にある。これはゲーム業界のみならず、多くの分野で昔から巻き起こってきた事象であり、おこぼれにあずかりながら稼いでいく人間の常套手段だ。
オリジナリティーを重んじる筆者から見ると、上記にあるベクトル2と3を採択する企業ばかりになっているのがゲーム業界の現状であり、チャレンジ精神はインディーゲームデベロッパーにのみ残されていると思う。本作のように大企業の下請けで生計を立てているスタジオが生み出した作品に「オリジナリティー」を求めるのは無理な話だ。
結果的に『Crime Boss: Rockay City (クライムボス:ロッケイシティ)』をおすすめできる人は、次から次へと乱発されていくゲームを「広く浅く」遊びたいと思っているユーザーで、特に「オリジナリティー」や「ゲームの本質」に関心がない人、ということになる。それ以外のユーザーは、おとなしく元ネタのゲームで遊ぼう。
元ネタというとそこがオリジナルのような気持ちになりがちだが、源泉を辿っていくことは非常に困難。音楽の世界ではローリング・ストーンズやレッド・ツェッペリンのスタイルを真似たバンドも多数登場してきたが、彼らにも模倣してきた「ブルーズ」のルーツがあり、決して完全オリジナルな作風のバンドではない。
本作が大いに参考にしている『グランド・セフト・オート』シリーズや『ペイデイ』シリーズにもちゃんと細かい元ネタは存在しており、サブカルチャーでオリジナルな作品を探し出し、その影響を考察していくことは非常に難しいことが言える。好意的な視点で見ると、文化は相互に影響しながら発展を遂げてきた歴史を持つものなのだ。
上記の感想や意見はあくまで筆者の個人的な見解であり、これが正解ということはない。ゲームに対してどのような評価を下すのも個人の自由であり、ユーザー毎に異なる見解や感想、意見があって然るべきだ。そうした意味では「深く考えずにとりあえず遊んでみる」のも正解で、面白いか否かはその後自分で判断すると良いだろう。
90年代をイメージした架空の都市を舞台に、犯罪者の頂点を目指しながら活動を繰り広げていくクライムアクションゲーム『Crime Boss: Rockay City (クライムボス:ロッケイシティ)』は、現在Steamストアで好評配信中。売れるゲームとは何かを考えながら開発されたであろう作品で、その考察は結果としてきちんと現れている。
今後このゲーム作品が長く人気を誇れるのかどうかについては、とにかく「プレイヤーを飽きさせない施策」ができるのかという点に関わってくるだろうが、開発元のINGAME STUDIOSは今後の詳細なロードマップも提示しているので、1年以上はホットな話題作として多くのプレイヤーが参戦するゲームになっていくことだろう。
興味が湧いた人は今すぐSteamストアへアクセスして、詳細なゲーム情報をチェックしよう。
【おすすめポイント】楽しめるかはユーザー次第!
クライムボス:ロッケイシティスペック/動作環境
動作環境 | 必須環境 | 推奨環境 |
---|---|---|
対応OS | Windows 10(64bit) | Windows 10(64bit) |
CPU | Intel Core i5-4460 | Intel Core i7-8700K |
メモリー | 8GB | 16GB |
グラフィックカード | NVIDIA GeForce GTX 970 | NVIDIA GeForce RTX 2070 |
VRAM | 4GB | 8GB |
HDD空き容量 | 60GB | 60GB |
DirectX | DirectX 11 | DirectX 11 |
備考 | インターネット接続が必要SSD推奨 |
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