『8番のりば』は、2024/5/31からPCゲームのポータルサイト「Steam」ストアで正式配信されている開発・パブリッシング「コタケクリエイト」の新作PCゲームで、永遠に走り続ける電車の内部で異変をかいくぐりながら脱出を目指していく必見のインディー系ホラーウォーキングシミュレーター待望のシリーズ最新作。
現実の電車を想起させるリアリティー満点のゲームグラフィック、没入感を最大限に高めてくれるファーストパーソンビューのプレイ視点、異変を察知し、それに対処しながら先を目指していくという前作『8番出口』とは異なるゲームシステム、前作に引き続き登場するおじさんキャラクターの存在が大きな特徴。
Steamストアに登場後に世界的な「8番ライク」ブームを巻き起こした空前の大ヒットタイトル『8番出口』のファンの人、安易に前作のシステムを模倣せずに新境地に挑んだ続編ゲームで遊ぶことが好きな人、自分がプレイしている動画をYouTubeなどで実況配信しながら遊ぶことが好きな人におすすめの新作ホラーアクションゲーム。
- 『8番出口』待望の続編
- 異変に対処する新たなシステム
- あの「おじさん」も続投
『8番』シリーズに待望の続編が登場
現在PCゲームのポータルサイト「Steam」ストアで好評配信中の『8番のりば』は、世界的な大ヒットを記録したホラーウォーキングシミュレーター『8番出口』シリーズ待望の続編となるおすすめの新作PCゲーム作品。作者は前作と同じ個人のインディーゲームデベロッパーの「KOTAKE CREATE (コタケクリエイト)」だ。
プレイヤーは永遠に走り続ける電車の内部からプレイをスタートし、発生する数々の異変をかいくぐりながら脱出を目指していくことになる。リアリティー満点のグラフィックとファーストパーソンビューが高い没入感を提供してくれる作品で、周囲を注意深く観察しながら異変を察知していくプレイ要素にも大いに夢中になれるはずだ。
作品はリリース後に記事執筆時点で601件に及ぶユーザーレビューを獲得しており、その内容は「非常に好評」と順調な滑り出しを見せている。世界的な大ヒットを記録したゲームの「待望の続編」ということもあり、発売前からSNSを中心に話題が盛り上がってきたタイトルだが、ついにそのシリーズ最新作で遊べる日がやって来た。
一般的にSteamストアで配信されているホラーゲームの中には、非常にグロテスクな描写が巻き起こる年齢制限アリのタイトルも少なくないが、本作の場合には「精神的な恐怖」を主題に製作されている側面があるため、グロや残酷描写が苦手な人でも安心してプレイできるという利点がある。幅広い人におすすめの新作ホラーゲーム作品だ。
前作『8番出口』について
『8番出口』について知らない人のために概要を説明すると、このゲームは永遠にループする地下鉄駅構内の通路が舞台の作品で、プレイヤーは最終目標となる「8番出口」を目指して歩いていくことになる。その中で構内の様子がランダムに変化し、その「異変」を察知したら引き返す、異変がなければそのまま進む、というルールが特徴だ。
この単純明快なゲーム内でのプレイルールが世界的にヒットした要因の1つとして挙げられており、国籍や年代、性別などを問わず多くのプレイヤーから高評価をもって迎えられた。その後類似した内容とルールを持つゲーム作品が次々と世界各国から登場し、Steamストア界隈は空前の「8番ライク」ブームを迎えることになる。
異変の内容は様々で、よく注意してみないと分からない小さな変異や、一見して分かる大規模な異変もあり、その出現頻度も完全にランダムになっているため、非常にリプレイ性に優れた構造になっている。ゲームの実況配信にもピッタリな作品であり、これまでに数多くの動画配信者たちが格好の材料としてプレイを展開してきた。
『8番出口』がこれほどまでのヒット作となった要因については各所で考察されているが、最も高い要因として考えられるのが前述の「ユニバーサルなルール設定」で、その次に「ランダム性」が挙げられると思う。一方通行かつ紋切り型なプレイではなく、毎回「何が起こるか分からない」ワクワク感が生まれてくる点が最大の魅力だ。
このランダム性は実況動画配信者にも大きな反響を呼んでおり、ランダム性が上手く現出した動画はもれなくバズっている。中には「最速クリア」を目指したり、「全ての異変を網羅」する攻略系の動画も少なくないが、他人がゲームで遊んでいる動画がこれほどまでに面白いのには、本作のシステム設計が大きく寄与していることは間違いない。
ゲームの特徴
作品が持つ性質上、Steamストアに掲載されているゲーム説明文はかなり簡潔なものとなっているが、本作『8番のりば』の要点は「脱出を目指す」「異なる異変にその都度対処していく」という2点になり、プレイの総時間は最短で約15分、最長で約1時間程度のサイズになっている。コンパクトに遊べるおすすめの新作ホラーゲーム作品だ。
ゲームでは日本の地下鉄の車両内部が精巧な3Dモデリングで再現されているので、電車マニアの人にもおすすめ。そして前作をプレイした人であればお分かりの通り、一躍時の人となった「おじさん」も本作に続投している。前作をプレイしていると本作をより一層楽しめる、というのは作者の言。前作『8番出口』もぜひプレイしてほしい。
ちなみにこの件については後述するが、『8番出口』と本作では異変を察知した際の行動ルールが全く異なっている。前作のつもりでプレイを進めると「あれっ」と思う場面に遭遇することになるので、シリーズ作品ではあるが異なるゲームである、という認識で購入すると良いだろう。ゲームシステムが進化している点が最大の特徴だ。
なお、ゲーム内でプレイヤーが目にする各種の「広告」は、実在する場所、商品、コンテンツに関する広告であり、作者である「コタケクリエイト」が権利者から使用許諾を得て使用している本物。以前SNS(公式X)で広告の募集が行われたことを覚えている読者もいるだろうが、そこで集まった広告が本作に使用されている。
コタケクリエイトは、Steamストア内で本作が『Liminal Space (リミナルスペース)』『Backroom (バックルーム)』などのインターネットミームにインスパイアされていることを公言しており、これらの不気味なミームが好きな人であればハマる作品と言える。海外の怪奇を日本風にアレンジした世界観が光るホラーゲームタイトルだ。
ワンコイン価格で購入できる新作ゲーム
Steamストアでの販売価格は、前作『8番出口』と同じく470円。ワンコイン価格でゲットできるお手軽な値段設定が光る作品で、お財布にも非常に優しい。安価なインディーゲームをコレクションしながら次々とクリアを目指していくことが好きな人や、初期投資を抑えてゲームを大量に購入したい人にも向いているホラーゲームと言える。
作品は標準で日本語インターフェースを完備。日本在住の作者が生み出したゲーム作品のため、翻訳の齟齬などのトラブルは一切存在しない。なお本作はXboxコントローラーでの操作をフルサポートしているので、普段コントローラーを使ってゲームをプレイすることが多い人でも安心だ。幅広い人におすすめできるPCゲームタイトルだぞ。
ちなみにValveの携帯ゲーム機「Steam Deck」との互換性については、まだ判定が下されていない。前作である『8番出口』では、グラフィック表示に軽度の問題があるとして完全な互換性を取得できないままだが、一応「プレイ可能」の判定が下されている。本作も近々Valveによる審査が入り、その内容がストア上に表示されるだろう。
解除できるSteam実績は合計で3種類とやや少ない印象ではあるが、Steamストアに出回っているゲーム作品の中には、Steam実績を1つも持っていないゲームも大量に存在するので、むしろこの価格でしっかりと実績を実装していることが素晴らしいと言える。異変のコレクションが最高に面白い作品なので、それほど気にならないはずだ。
動画配信ガイドラインについて
本シリーズの作者であるコタケクリエイトは、Steamストア上に「動画配信ガイドライン」を設定している。基本的に本作も個人と法人を問わず許諾不要で配信を行うことができるが、実際に本作のプレイ画像を用いてアップロードしようと考えている人は、以下に記載する「作者からのお願いと注意事項」を事前に熟読しておこう。
『8番のりば』の動画配信ガイドライン
個人、法人問わず許諾なしで配信が可能ですが、以下のガイドラインをご確認いただき、遵守してください。
・動画及び配信のタイトルにゲームの名前を含めてください。
・任意ですが、概要欄などにSteamページのリンクを載せていただけますと幸いです。
・収益化は動画配信サイトが提供する機能を用いた場合のみ可能です。
・Youtubeのメンバー限定配信など、有料の配信も許可いたしますが、可能であれば無料で視聴可能な配信を行っていただけますと幸いです。
・このゲームの動画を配信したことによるいかなる損害に対しましても一切責任を負いません。
・本ガイドラインの内容は予告なく変更する場合があります。
システム要件
『8番のりば』のシステム要件は比較的低め。ストアには最低動作環境のみが掲示されているが、グラフィックボードの最低動作確認モデルはNVIDIAのGTX 970クラスのパーツとなっている。発売当時にはミドルクラスのパーツだったが、現在はローエンドからミドルクラスの中間程度の性能になっているので、参入の敷居は低いはずだ。
メインメモリの最低搭載量については記述が存在せず、CPUの最低動作モデルはIntelのi7-4770クラスのプロセッサーとなっている。フルHD環境でスムーズなゲームプレイを楽しみたい場合には、現行のローエンドなゲーミングPCがあれば十分と言えるだろう。ただし動画の実況配信を行いたい場合などにはこの限りではない。
一般的にPCモニターの解像度がフルHD以上のWQHDや4Kになっていくと、そのネイティブ解像度に応じてグラフィックボードへの負荷が高まっていく傾向がある。主要な供給企業であるNVIDIAやAMDはこの負荷を軽減するための独自プログラムを公開しているが、高いfpsを叩き出しながらスムーズに遊びたい場合には注意点になる。
また動画配信をプレイと同時に行っていきたい場合には、最低動作モデルよりも性能が高いプロセッサーを搭載しておくと安心。世界的にも実況配信に向けたスタンダードなPCパーツ構成というものは確立されていないが、各所のサイトをチェックしながら自環境を顧みて、相応のPCパーツが構成できているかを調べてみよう。
大手企業がリリースするPCゲーム作品の場合、ゲーム内の画質設定に応じて「この構成であればフルHDで60fpsを実現できます」という分かりやすいシステム要件一覧を公開しているものだが、個人でインディーゲーム作品を製作しながら発表している人は、多様なPCパーツ構成を試す時間的・金銭的な余裕がないため、記述が存在しない。
PCパーツの組み合わせは非常に膨大であり、その全てをゲームプレイ環境でテストすることはほぼ不可能。よって購入を検討しているユーザーは、一種の指針としてシステム要件を確認していくことになるのだが、上記のようにインディーゲームデベロッパーほど検証環境から離れた位置にいることが多く、情報不足に陥りがちだ。
本作に限って言えば、相当古いゲーミングPCを除いて快適に動作するはずなので、より多くのPCゲーマーが参入できる土壌が整っていると言える。ただし情報不足はユーザーの不安を生み出すので、今後はシステム要件について簡易的にテストできるサービスなどが登場することが望まれる。公開型ベンチマークソフトがあれば完璧だろう。
世界的なヒットを記録し、その後数多くの類似作品が生まれる「8番ライク」ブームを巻き起こした前作から地続きで発表された話題作『8番のりば』は、現在Steamストアで好評配信中。前作を楽しめたファンには無論のこと、世界から注目を集める日本のインディーゲーム作品に興味がある人にも断然おすすめできるホラーゲームタイトルだ。
興味が湧いた人は今すぐストアへアクセスして、詳細なゲーム情報をチェックしよう。
【おすすめポイント】待望のシリーズ最新作が登場!
ゲームプレイの流れ
『8番のりば』のプレイ視点は、前述の通りファーストパーソンビュー。カメラをマウスやキーパッドを動かすことが視点移動に直結していくことになるが、この操作スタイルとカメラの感度は設定画面から随時調整できるようになっている。カメラを激しく左右に振ることで「カメラ酔い」を起こしそうな人は、事前に調整しておこう。
前作が「異変を感じたら引き返し、異変がなければそのまま進む」というルールだったのに対し、本作では「異変」のバリエーションに応じて対応策と対処方法が異なる点がポイント。前方で明らかな異変が発生していたとしても、プレイヤーは前方に進むことを余儀なくされるため、瞬時に頭をフル回転させて異変からの脱出を目指そう。
異変毎に対処方法が異なる、ということは、すなわち間違った対処を繰り返してハマってしまう可能性があるということ。正解の突破方法を編み出さない限りは先に進めないので、8番ライクな作品とは異なる「詰んだ状況」が生まれることもある。この部分でプレイヤーの閃きと力量が問われるので、完全攻略を目指して頑張っていこう。
前作で多くのプレイヤーに親しまれ、その認知度を深めていった「おじさん」は、しっかりと本作にも登場。おじさん自身が変化する異変もあり、ちょっとジャンプスケアな要素も発生するので、この点で『8番出口』よりも恐怖感が高まっている作品と言える。油断した時に後ろから全速力で接近してくる異変もあり、ドキドキ感も高いぞ。
見事に数々の異変を切り抜けながらゲームをクリアすると、前作をプレイした人であれば思わず「ニヤリ」とするエンディング画面へと繋がっていく。そういった意味でも最初に『8番出口』をプレイして、それから本作をプレイしたほうが感慨深いはずだ。シリーズ作品らしいポイントもしっかりと備わっている必見のインディーゲームだぞ。
総評:変化についてこれるかがポイント
『8番のりば』について、前作をプレイ済であるユーザーからは少なからず異論が巻き起こっている。その内容を大まかにまとめると、『8番出口』が持っていた「異変を察知したら引き返す、異変がなければそのまま進む」という「明確なルール」が本作では無くなっていたことに対する失望だ。続編の変化球が評価を二分している。
ゲームに限らず、一般的にエンターテインメント作品の続編は「鬼門」と言われてきた歴史がある。前作を楽しんだファンに向けて「前作に寄せた作り」にするのか、それとも全く異なる路線へと進み、ファンに新たな境地を提供するのかという「選択肢」が作者に提示されることになり、そこでの選択が続編の成功可否を決めることになる。
映像作品における続編の歴史
映像作品で追っていくと、ジェームズ・キャメロン監督の出世作『ターミネーター』は、低予算のB級SF映画という出自ながら大ヒットを記録し、キャメロン監督は自身が抱いていた構想を余す所なく実現すべく、その収益を『ターミネーター2』へと注ぎ込んでさらなるヒットを生み出した経緯がある。そして監督は続編に「変化球」を入れた。
『ターミネーター2』で大きく変わった設定は、1作目で恐怖のヒットマンであったT-800(アーノルド・シュワルツェネッガー)が標的のジョン・コナーを守る「守護天使」の役割へと180度変わった点、そしてT-800を凌駕する性能を持つT-1000(ロバート・パトリック)を登場させた点にあり、観客に対する大きなサプライズ要素があった。
単純にVFXや特殊技術、爆破シーンのスケールアップという面でも1作目を凌駕する作品であった『ターミネーター2』だが、脚本も手掛けるキャメロン監督が「設定の改変」を行ったことによって、王道でありながらも変化球を持つ大ヒット映画になったと思う。T-800が「人間の味方」になったことに異論を唱える人は、当時皆無であった。
変化球無しで成功を収めた例
タイムスリップをテーマに3部作が展開していった『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズはどうか。この作品に関してはもともと3部作ありきで構想が練られていたため、続き物としてのブロックバスタームービーとして時代を牽引していった経緯がある。2作目を未来、3作目を西部開拓時代に持っていったプロットの巧妙さも光る。
上記の映画はわかりやすい「成功例」であるが、世界にはこうして順当に成功したエンターテインメント作品の続編は非常に少ない。それでは何故多くのエンターテインメント作品が続編において「失敗作」という烙印を押されてしまうのだろうか。その理由は「製作者が想定していないヒット」が起こったことに大きく関係している。
成功が生み出した続編の悲劇
映画の世界、特にハリウッドでは、該当作品がヒットすることで原作者の意向とはお構いなしに「続編」を会社が求める風潮がある。『ターミネーター』シリーズの場合、キャメロン監督は「2」で終止符を打ちたかったにも関わらず、制作会社がさらなる続編を強要し、所有権を巡る裁判沙汰にまで発展していったという黒歴史を持つ。
つまりオリジナル作品を生み出した原作者の想定を上回る大ヒットが起こった際、配給会社が原作者にプレッシャーを与え続け、作りたくもなかった続編の制作に着手しなくてはならない状況が生まれることがあり、それがファンに大きな失望を与える結果になる。クリエイターと商業主義が上手く噛み合わなくなった事例には事欠かない。
話をゲームの世界へと移すと、誰も期待していなかった続編を次々と生み出していく小規模なインディーゲームスタジオは多いが、社会現象的な売上を生み出したゲームスタジオは、パブリッシャーや関連企業から「さらなる成功」を暗に求められるきらいがあり、モチベーションを保てないままに不本意な続編を出して失敗する傾向がある。
要点をまとめておくと、続編を成功させるためには「事前に製作を想定・構想しているか」「製作者がモチベーションを保てているか」という2点が成否を分けるポイントになり、この部分が不確かなまま製作が進行した場合、1作目のファンから酷評され、売上にも結びつかないという悲惨な未来が待っていることになる。これは業界の悲劇だ。
製作者がモチベーションを保っていたとしても、開発側が想定していた変化球をスポンサーが嫌って方向性が変わった事例もある。この問題には機能していないリサーチ部門の失敗、読みの甘さなども関係してくるが、大きな変化を嫌うことが多い一般大衆的なマインドも除外できない。変化球で成功することのハードルは非常に高いと言える。
安易に収益を優先してエンターテインメント作品の続編を作ろうと考えると、それが原因で作品にあった「光」が失われることになるが、資本主義の世界では「多く儲けた人間が勝ち」になるため、繊細な製作者の希望は概ね無視されていく傾向が高い。これがエンターテインメント業界で「続編は鬼門」と言われる大きな要因と言えるだろう。
それでは本作の作者であるインディーゲームデベロッパーの「コタケクリエイト」はどうか。作者は個人でゲームを開発しているデベロッパー兼パブリッシャーであり、続編を生み出すか否かは本人の判断によって行われる。そこには続編を促す「第三者」の意見は存在せず、あるとすればファンからの続編開発に対する要望のみだ。
したがって『8番のりば』は、作者自身の意思で変化球を投じた続編ということになり、そこには純粋な開発者としての「矜持」がある。「8番」というタイトルの文言を重ねたことには「オリジナル」としての自負があり、また前作をプレイしたファンに向けた新作であることを大々的にアピールしたかったという狙いもあるだろう。
そしてゲームがリリースされた今、プレイした一部のユーザーは『8番出口』が持っていなかったゲームシステムに戸惑いを見せ、明確な高評価を与えるに至っていない。単純明快だったルールが複雑になり、純粋にプレイを楽しめなくなったというのが彼らの言い分で、それはそれで間違ってはいない。ただその一方で高評価も存在する。
高評価を下したユーザーの意見としては、「別ジャンルのゲームとして楽しめた」というもので、彼らは作者の変化球をしっかりと受け止めている格好だ。これらの「評価の違い」は、事前に自分が期待していた内容であったかどうか、そして想定していなかった要素をしっかりと受け止めて楽しめたか否か、ということになるだろう。
『8番出口』と違うから低評価、という流れは、変化球の受け止め方になる部分が大きいため、前作のヒットに貢献していた「購入済ユーザー」が本作を続けてプレイすることの難しさを露呈する。先に本作をプレイしていた場合、そして『8番出口』のルールすら知らなかった場合のゲーム評価は、また違ったものになるはずだ。
類似作の乱立が作者を奮い立たせたか
おそらく続編で異論が噴出することは作者自身がよく分かっていたと思う。では何故「異なるルール」を設け、別ジャンルという評価まで引き出す作品を生み出した「リスキーな手法」を採択したのだろうか。そこには『8番出口』の大ヒット以降、Steamストアに雨後の筍の如き勢いで登場した8番ライクな類似作の存在があるのではないか。
ご存知の通り、『8番出口』は一種のカルチャーショックになって世界中のホラーゲームファンの間で広まっていった。その後間髪入れずに個人のインディーゲームデベロッパーが「8番ライク」な作品の開発を進め、あっという間に8番ライクなゲームのブームが巻き起こることになる。コピー品のような粗末なゲームが大量に出たわけだ。
オリジナル原作者であるコタケクリエイトとしては、そんな状況が嬉しくもあり、その一方でかなり苛立った面もあったのではないか。リスペクトしたゲームであれば許せるが、安易にゲームシステムと世界観を模倣した「二番煎じ」のゲームが大量に出没したので、自らが確立したゲームルールを次回作で変えようと考えた可能性がある。
「異変がなければ進む、異変があったら引き返す」という黄金律は非常に魅力的なシステムであり、国籍や性別、年代を問わず親しめる大切な要素だったはず。その黄金律を捨て、コタケクリエイトは自ら異なるルールを生み出し、それを続編の核に据えた。この部分にオリジナル原作者としての強い「意思表明」を感じずにはいられない。
「『8番出口』のルールが好きならば『8番出口』をプレイして下さい」と無言で主張しているような本作のシステム設計は、これからも大きな波紋を巻き起こしていく可能性がある。ただしこのルールが一般に大きく浸透すれば、今後は「のりばライク」なゲーム作品がSteamストア上に次々と登場していく可能性はあるだろう。
続編に待ち受けている「鬼門」を「変化球」で突破しようと試みた作者の意思は見事で、オリジナル原作者として自らの「二番煎じ」を絶対に避けたかった強い信念も窺える。後はこの変化球を上手く受け止めてゲームを楽しんでくれるユーザーが増えることを願うばかりだが、内容的には面白い作品なので、あまり心配はいらないだろう。
アクションゲームでも「2面」が全く異なる設計のステージになっていることがあり、それがプレイヤーの挑戦意欲を掻き立ててくれる。本シリーズで言えば、『8番出口』で分かりやすいルールの1面をクリアした後、より高度な設計になった2面へ挑戦する心構えをもってプレイに望めば、必ず本作の魅力を堪能できるはずだ。
大ヒット異変察知系ホラーウォーキングシミュレーターの正統続編『8番のりば』は、現在Steamストアで好評配信中。安価な価格設定と捻りを加えた変化球の内容で、前作には無かった驚きを感じながらプレイを楽しめるPCゲーム作品に仕上がっている。興味が湧いた人は今すぐストアへアクセスして、詳細なゲーム情報をチェックしよう。
【おすすめポイント】変化球が楽しい新作ホラーゲーム!
8番のりばスペック/動作環境
動作環境 | 必須環境 | 推奨環境 |
---|---|---|
対応OS | Windows 10(64bit) | Windows 10(64bit) |
CPU | Intel Core i5-4460 | Intel Core i7-8700 |
メモリー | 8 GB | 16 GB |
グラフィックカード | NVIDIA GeForce GTX 760 | NVIDIA GeForce GTX 1060 |
VRAM | 2 GB | 6 GB |
HDD空き容量 | 30 GB | 30 GB |
DirectX | DirectX 11 | DirectX 11 |
備考 |
© 2024 KOTAKE CREATE.
8番のりばの評価・レビュー・評判(0件)
このゲームの投稿レビューはまだありません。