『Aurora Hills (オーロラヒルズ): 第1章』は、2024/4/20からSteamストアで正式配信されている開発・パブリッシング「NovaSoft Interactive Ltd.」の無料PCゲームで、パークレンジャーの主人公「イーサン・ヒル」としてポイント・アンド・クリック形式のプレイでミステリーに挑んでいく没入型パズルゲームタイトル。
作り込まれた美しいゲームグラフィックによって再現されている没入感満点のゲーム世界、幾何学的なパズルにチャレンジしながら謎を解き明かしていく頭脳プレイ要素満点の操作システム、ミステリアスなストーリー要素と幅広い年代のプレイヤーが遊べる年齢制限のない開発姿勢が大きな特徴。
印象深いグラフィックを体験できるミステリーパズルゲームを求めている人、PCだけではなく、スマホゲームアプリとしても同時リリースされている作品が好きな人、頭を悩ませながら製作者が用意した数々の仕掛けにチャレンジして、その謎を解き明かしていくことが得意な人におすすめの新作。
- 王道のアドベンチャー要素
- ポイント・アンド・クリック
- 高品質なグラフィック
謎解きに挑戦していくパズルゲーム
現在PCゲームのポータルサイト「Steam」で好評配信中の『Aurora Hills (オーロラヒルズ): 第1章』は、世界中で幅広い年代のユーザーから指示されている「ポイント・アンド・クリック」形式のプレイスタイルを持つおすすめの新作。没入感を高めてくれる美しい3Dグラフィックが特徴のパズルアクションゲームタイトルだ。
ゲームは配信開始から現在までに469件に及ぶユーザーレビューを獲得しており、その総評は「圧倒的に好評」となっている。また直近でのレビュー366件に関しては「圧倒的に好評」という素晴らしい内容であり、本作のゲームシステムと世界観設定がいかに優れているかを見せつけている。ユーザー人気が高い新作ゲームだぞ。
なお、本稿を読み進めていく前に、「ポイント・アンド・クリック」形式のゲームジャンルについて軽く触れておきたい。ポイント・アンド・クリックとは文字通り「指し示してクリックする」ことで、PCではマウスの操作方法をこの言葉で呼ぶこともある。「十分に知っているよ」という人は、該当セクションを読み飛ばしてもらって結構だ。
ポイント・アンド・クリックについて
ポイント・アンド・クリック形式のゲームはその歴史が古く、複雑な操作を用いることなくプレイを進められることから、ファン層の年代も幅広い。基本的には静止画の画面内で任意の場所をクリックすると何かしらの反応があったり、プレイが進んでいったりといった事象が起こるという直感的なプレイスタイルが特徴だ。
PCゲームではRPGジャンルでの移動方法としてポイント・アンド・クリックを指していることも多いが、この方式を全面的に採用しているものとして「謎解きアドベンチャー要素」を進めていく作品の認知度が非常に高く、特に画面内部に巧妙に隠された「特定の絵柄」を発見していくコンテンツの人気が高いと言える。
3Dグラフィックで構築されたゲーム作品の場合、その負荷のためにプレイヤーに対して相応のPCスペックが求められることがあるが、静止画がメインとなっているポイント・アンド・クリック形式のアドベンチャーゲーム作品は貧弱なノートPCでもプレイできるアドバンテージがあるため、これもジャンル普及の起爆剤になってきた。
最近ではポイント・アンド・クリック形式のゲーム作品はやや古い印象を与えるものになってしまった感もあるが、それでも精巧に描かれた静止画を見ながら「気になる箇所」をクリックするプレイ自体は色褪せることのない魅力に満ちており、今後も同ジャンルのゲームは(大規模ではないまでも)世界各国に登場していくことだろう。
この形式のゲームでは、プレイ画面に使われている静止画のクオリティーが最も重要視される。絵を見たユーザーがその状況を確実に理解できる程度の構成力が必須なのは無論のこと、物探しパズル系の作品の場合、静止画の中にプレイヤーが発見すべきアイテムを巧妙に隠すという「トリックアート」的な手腕も求められるからだ。
そういった意味でポイント・アンド・クリック形式のゲーム作品には、非常にアート性に富んだゲームが多く、この「一枚の絵画を見ているような感覚」は、他のジャンルではなかなか味わえないもの。落ち着いた雰囲気でプレイが進行していくゲームも多く、これもファンの年代幅を増幅させている要因と言えるだろう。
完全無料で遊べる新作
そんなポイント・アンド・クリック形式を楽しめる本作『Aurora Hills (オーロラヒルズ): 第1章』は、何と「完全無料」で遊べるお得な新作ゲーム。ちなみに本作はSteamで配信されているPCバージョン以外に、iOSとAndroid OS向けにもスマホアプリとしても配信されているマルチプラットフォームゲームだ。
舞台となるのは、アメリカのアパラチア山脈のさらに奥深くにある「オーロラヒルズ」。のどかな大自然に包まれたこの場所で近年失踪事件が相次いで発生しており、住人の多くが犠牲となっている。かつての栄華を失ったオーロラヒルズの謎を解き明かすため、主人公のパークレンジャー「イーサン・ヒル」が行動を起こすぞ。
ゲームのストーリー
アパラチア山脈の奥深くに位置するオーロラヒルズは、産業の繁栄と絵のように美しい景観で知られていました。天然資源に恵まれたオーロラ・ヒルズは、州内で最も繁栄した町のひとつになろうとしていた。
しかし、すべては思い通りにはいかない。ここ数年、住民や観光客の失踪事件が相次ぎ、多くの住民がこの小さな町から去っていった。1981年10月の現在、町はかつての面影を失っている。かつてオーロラ・ヒルズを潤していた繁栄はもうない。
パークレンジャーとして働くあなたは、失踪事件の真相を調査し、長年住民を苦しめてきた疑問に答えなければならない。なぜこの半年で失踪者が増えたのか?失踪した人々の痕跡がないのはなぜか? おそらく最も重要なことは、誰が、あるいは何が、このすべての背後にいる可能性があるのか?
ポイント・アンド・クリック形式のアドベンチャーゲームの多くは、そのゲームシステムからミステリアスな世界観設定を持つ事が多く、本作もその流れに倣った格好のストーリー要素を持っている。果たして謎の失踪事件の真相とは何なのか、そして輝きを失ってしまった街に平穏な日々は戻るのだろうか。プレイして確かめよう。
なお、本作は連作として発表されていくゲームの「第1章」を無料体験できる「体験版」の位置にあるゲーム作品であり、このゲームだけでエンディングを迎えるわけではない。時間を置いてから続編がリリースされていく流れになっているので、作品を実際にプレイして好きになった人は、今後のリリース情報にも目を光らせておこう。
カナダで結成されたインディーゲームデベロッパーの新作
ゲームを開発しているのは、2019年にカナダのアルバータ州で設立されたインディーゲームデベロッパーの「NovaSoft Interactive Ltd.」で、本シリーズは彼らにとって2作目となる作品。デビュー作である『Meridian 157: Prologue』は、彼らが大学生の頃に開発された経緯を持つアドベンチャーゲームタイトルだ。
iOS、Android、Mac、Windows PC向けのポイント・アンド・クリック・パズルアドベンチャーゲームを制作することを目的として結成された彼らは、一貫して同じジャンルのゲーム制作に打ち込んでいる点が特徴のデベロッパーで、同ジャンルのゲームをプレイすることは好きな人にとっては、今後が非常に楽しみなスタジオと言えるだろう。
彼らは公式サイト上で信念として「没入感のあるアートと雰囲気」「強力で魅力的なストーリーライン」「魅力的でやりがいのあるパズル」の3項目を掲げており、これはポイント・アンド・クリック形式を採用して成功した全てのゲームにも当てはまる。ポイント・アンド・クリックの本質を理解しながらゲーム開発を進めているスタジオだ。
デビュー作『Meridian 157』シリーズは合計4種類の作品としてリリースされ、現在は本作をシリーズ化すべく開発を遂行している状況。このシリーズが何作で終了するのかは発表されていないが、自分たちの作品に誇りを持っている彼らが「納得できるクオリティー」になった時、続編が生まれていくのだろう。
本作とデビュー作の『Meridian 157』シリーズには直接的な関係性が存在しないので、どちらからプレイを始めても問題はない。『Meridian 157』シリーズにはやや不気味な世界観があるので、ホラー的な雰囲気を味わいたいと考えている人にはおすすめだ。没頭できる世界観とストーリーを持ち、プロローグ版は完全無料で遊べるぞ。
日本語インターフェースをサポート
『Aurora Hills (オーロラヒルズ): 第1章』は完全無料の新作アドベンチャーゲームで、作品は標準で日本語インターフェースと字幕をサポートしている。詳細については後述するが、翻訳の精度はやや甘く、時に意味が通りにくい箇所もある。またフォントサイズの都合で全ての文字が表示しきれていない箇所もあるため、注意しておこう。
ただしプレイの進行を完全に阻害するような翻訳ミスは存在せず、何となく意味を解しながら進められるようになっているので、この点に関してはそれほど問題にはならないであろう。日本語翻訳に関してボランティアで協力することが好きな人は、一度「NovaSoft Interactive Ltd.」にコンタクトを取って申し出るのも良いかもしれない。
ゲームはソロプレイ専用タイトルで、ローカルとオンラインでのマルチプレイには非対応となっている。1人で好きな時間に遊べるゲームが好きな人にもおすすめで、自分のペースで謎解きパズル要素へチャレンジできるため、オンラインゲームに固有のストレスを感じることなく遊べること請け合い。プレゼントにも最適なゲーム作品だ。
本作はValveの携帯ゲーム機「Steam Deck」と完全な互換性があるタイトルなので、Deckユーザーにもおすすめできる新作ゲームと言える。Steam Deckは机にかじりつくことなく対応ゲームを「好きな場所」でプレイできる利便性抜群のデバイスなので、リラックスした姿勢で存分にミステリアスな世界を堪能しながらクリアを目指そう。
解除できるSteam実績は1つも存在せず、この点はやや淋しい印象を受けるが、本作は無料体験版に位置するゲームタイトルなので、そこまで深く考えることもないだろう。集中力を高めてくれる2種類のアンビエントトラックに身を委ねながら、独特なパズル要素の数々へとチャレンジしていくことで、そんな不満は吹き飛んでいくはずだ。
システム要件
『Aurora Hills (オーロラヒルズ): 第1章』のシステム要件は非常に軽く、これはポイント・アンド・クリック形式のゲームが持つ「優位性」を体現している。グラフィックに関してはCPU内蔵のものでもOKで、メインメモリの推奨搭載量も2GBとかなり敷居が低い。インストールサイズも1.5GBと軽量級で、ストレージへの負担も少ないぞ。
なお、SteamストアでのOSセクションには、本作の最低動作サポートOSとして「Windows 8.1」と記載されているが、Steamを運営しているValveは「2024年1月1日以降、SteamクライアントはWindows 10以降のバージョンのみをサポートします」と併記しているので、該当OSで運用している人はこの点に十分注意が必要だ。
現在Steamストアに続々と発表されているインディーゲームの中には、このValveの警告文と合わないバージョンのOSを最低動作環境に記載しているものも少なくないが、開発チームはユーザーに余計な不安を抱かせないためにも、きちんとValveの主張に合わせる形で記載すること願いたい。例え「どうにかすれば動く」としてもだ。
前述のスタジオ紹介文にあった通り、本作はMac OS向けにも配信されているゲームなので、Macユーザーにもおすすめできるポイント・アンド・クリックゲームと言える。作品はMac OS 10.12以上のバージョンで動くことが記載されており、IntelおよびAppleシリコンのどちらも動作保証されている。インストールサイズは約1GB程度だ。
世界的に人気を博しているゲームジャンル「ポイント・アンド・クリック」形式で数々の謎解きパズル要素へと挑戦していくおすすめの新作ゲーム『Aurora Hills (オーロラヒルズ): 第1章』は、現在Steamストアで好評配信中。完全無料でプレイを楽しめる必見作であり、世界のユーザーから絶大な支持を獲得しているPCゲームでもある。
小学生からでも遊べる対象年齢の低さも魅力の作品であり、幅広いPC環境下にあるユーザーのほぼ全てが遊べるという点でもおすすめできるアドベンチャーゲームと言える。多言語対応に関しても嬉しい仕様だ。興味が湧いた人は今すぐSteamストアへアクセスして、頭脳プレイ要素を駆使しながら面白さ満点のゲームプレイを楽しもう。
【おすすめポイント】無料で遊べる新作ゲームが登場!
ゲームプレイの流れ
ゲームを起動すると、最初にホーム画面が登場。ここには「開始」「設定」「リセット」などの項目が立ち並び、ゲームの世界観を象徴する「オーロラヒルズ」の看板も背景に登場する。なお、言語設定を日本語にしていると、この看板の「へようこそ」の部分まで翻訳されている点がポイント。文脈がややおかしいのは御愛嬌だ。
「開始」ボタンを押すことでプレイを始められるが、最初に「難易度設定」を決めることになる。ポップアップ形式で表示される画面内で任意の難易度を選択可能で、デフォルトは「標準」。標準を選ぶとパズルの内容が簡単になり、ヒントとヘルプを利用できるようになる。ちなみに難易度はいつでも変更することが可能だ。
実際にプレイが始まると、最初に印象的なムービーシーンが流れる。やや年代を感じさせる建造物の廊下内を主人公のイーサン・ヒル視点で進んでいくが、壁面に掛けてある額縁が不規則に(誰の干渉も受けずに)落ちるという不気味な演出も登場し、本作がミステリアスな雰囲気をまとったゲーム作品であることがよく分かるようになっているぞ。
廊下の奥に謎の赤い扉が出現し、その後主人公視点のカメラは何者かに引きずられるように廊下の後方へと急速な勢いで流れていく。これは作品の導入部分であり、実際のゲームプレイには何ら関係を持たない要素ではあるが、開発元がプレイヤーを世界観へ引き込むために演出面を大切にしていることを実感できる貴重な場面でもある。
その後画面は暗転し、主人公イーサンの自室内が登場。ここでプレイ画面の左側にインターフェースが出現し、ポップアップ画面でチュートリアルを体験するか否かという選択肢が登場する。初見でチュートリアルを飛ばしてプレイすることはあまり意味をなさないので、ここは面倒でもしっかりとチュートリアルを体験していこう。
各種のインターフェースについて
プレイ画面左側に出現している四角い枠は、発見・入手したアイテムを格納できるインベントリで、これは普段ロールプレイングゲームジャンルをプレイすることが多い人ならすぐに理解できる部分。残念ながら翻訳の不具合で「インベントリ」ではなく「インベン」としか表示されていないが、つまりこの部分はアイテムを収納する場所だ。
枠の最上部にあるハンマーとレンチを組み合わせたアイコンは、2種類の異なるアイテムを「組み合わせる」機能を持つもので、プレイを進めて複数のアイテムを入手後、それらを組み合わる際に利用することになる。この部分も「組み合わせ」ではなく「組み合わ」としか表示されないが、翻訳は間違っていないので大目に見てあげよう。
枠の右側に表示されている「!」のアイコンは、プレイ中に目的を確認する場合に用いる。その上にある虫眼鏡のアイコンは「ヒント」を表示させる機能で、難易度によって利用できる仕組みだ。日本語翻訳の精度に関してはやや不明瞭な文言になっている部分もあるため、プレイ中は意味を推し量りながら進んでいくと良いだろう。
枠の右側最下部にあるアイコンは「戻るボタン」で、これを押すことでプレイヤーは前のシーンへ戻れるようになっている。ゲームインターフェースの基本設計はWindowsでのアイコンの並びかたに近いため、PC環境をよく使っている人であれば、すぐにその機能を理解しながらプレイを進められるはず。整頓されたUIが秀逸な新作ゲームだ。
PCバージョンのプレイ画面には大きな矢印が出現し、これは操作しているマウスと連動している。美麗な静止画のグラフィックで再現されているプレイ画面で特定の場所をクリックすると、今いる場所から奥の方へと進むことができる仕組みだ。これはレトロゲームでよく用いられていた手法であり、懐かしく感じる人も多いことだろう。
「!」のアイコンをクリックすると、プレイヤーが行うべき行動がテキストで表示される。この部分にはピックアップすべきアイテムの一覧が書かれていることがあるので、まずは「!」アイコンを押してテキストを確認し、その後矢印を用いながらマップ内を移動して、目的を達成するためにアイテムを集めていこう。
最初にイーサンに提示される目的は「仕事に必要なものを集める」ことで、アイテムである「車の鍵」「レンジャーのユニフォーム」「カメラ」「アルバム」「食料」などを集めていくことになる。ポイント・アンド・クリック形式のゲームでは、ある程度定められた条件でキャラクターが動くことになるので、この辺も理解しておこう。
数々のパズル要素
その後プレイが進んでいくと、イーサンはゲームの舞台となる「オーロラ・ヒルズ」内部で巻き起こっている連続失踪事件の深層へと進んでいくことになる。その中で創意工夫が凝らされた数々のパズルアクションが登場し、それまでに収集していた情報や画像などをヒントに、頭脳プレイ要素を駆使しながら挑戦していくことになるぞ。
本作に登場するパズルアクションは、ある意味でユニバーサル仕様となっており、海外文化に対する特別な知識や理解度などを必要としない。難易度調整によってはパズルを解くためのヒントを見ることもできるが、基本的にはそれまでに目にしてきたアイテムやオブジェクトにその鍵が隠されているので、ノーヒントで挑むのも一興だ。
パズルには様々な仕組みが存在し、開発者が真剣に「面白いゲーム作品」を作ろうとしていることが窺える。そして謎解きと並行するように連続失踪事件の被害者たちを整理しながら「隠された秘密」へと迫っていく要素も同時体験できるため、パークレンジャーというよりは「刑事」「探偵」になった気分で遊べる点が大きな魅力と言える。
プレイ中目にするグラフィックは落ち着いた仕上がりであり、決して子供だけに向けたゲームではない「大人の雰囲気」も味わえるところもグッド。本作の描画スタイルは基本的に3Dグラフィックで構築されたレンダリングの静止画なので、奥行き感もしっかりと再現されており、高い没入感を維持しながらプレイを続行できるはずだ。
無料体験版に近い立ち位置にあるゲームなので、そのボリュームが気になる人がいるかもしれないが、本作はパズル解読に使う時間も含め、初見だとクリアまでに数時間以上はかかるため、やりこみ要素も非常に高い。今後リリースされていくであろうシリーズ続編にも大きな期待を寄せることができる新作で、存分に浸れる点が魅力だ。
数字や図形などを組み合わせながらパズル解読へチャレンジしていくゲームが得意な人には断然おすすめできる新作ゲームで、探偵小説風の世界観を持つアドベンチャーゲームで遊ぶことが好きな人でも楽しめるはず。反対にアクションシーンは皆無となっているため、何も考えずに遊べるゲームが好きな人には不向きなゲームと言える。
総評:王道のシステムを継承する必見作
前項でも述べた通り「ポイント・アンド・クリック」形式のゲームはその歴史が古く、世界的に愛好家が多いことでも知られている。このジャンルは主に海外のユーザー人気が高く、日本国内にも熱心なファンはいるものの、積極的に新作が生まれていない現状もある。そんな中登場した本作は、日本ユーザーにもぜひ遊んでもらいたい作品だ。
ゲームシステムとして画期的な面は無いが、本作には長年脈々と培われてきた「王道のジャンル」に正しい姿勢で向き合っているという特性があり、ポイント・アンド・クリックのゲーム文化を継承していこうとする意欲も窺える。丹念なグラフィックと歯ごたえのあるパズル要素が、高いレベルでプレイヤーに面白さを提供してくれるだろう。
アクションFPSのように、プレイヤーが自由にカメラを動かせることに付随する「素早く動く画面」が苦手な人にもおすすめできるポイント・アンド・クリック形式のゲームには、時間をゆったりと感じさせてくれる効果もあり、マイペースで謎解きに取り組みながら深遠なストーリー要素へと到達していく楽しさもきちんと同居している。
読書が趣味という人にも入り込みやすい土壌が整ったジャンルであり、グラフィック品質とBGMが一体化した際には、これまでに遊んできたゲームのジャンルで得られるものとは全く異なるプレイ体験を味わえるところもおすすめできるポイントと言える。一言で言えば「上品なゲーム」であり、知性的なユーザーに向いているタイトルだ。
昨今は素早い編集を施した動画を目にする機会も多く、それはそれで刺激的な物ではあるが、その対極にある「静的な美しさ」はどんどん減少していっている印象を受ける。時代が進む毎に「忙しない文化」へとシフトしていくのは致し方ないことなのかもしれないが、せめてゲーム業界にだけはゆったりとした作品が残って欲しいものだ。
筆者がこれほどまでに『Aurora Hills (オーロラヒルズ): 第1章』を褒めているのには、過去に原体験したアドベンチャーゲームの記憶が蘇っていることもある。PC-8801向けのゲームとして販売されていた「J.B.ハロルド」シリーズが持っていたような「独特な大人の雰囲気」を覚えているので、それが本作にも感じられて興味を惹かれる。
アドベンチャーゲームというジャンルの定義には人によって違いがあるが、筆者の認識では探偵要素を持つ長編小説のようなゲーム作品もこのジャンルに含まれる。主に80年代や90年代にかけて隆盛を迎えていたこのジャンルは近年のゲーム事情からはやや後方へと押しやられている感覚があるが、ジャンルとしての魅力は普遍だ。
大学生の頃にデビュー作を発表したというNovaSoft Interactive Ltd.の面々は、明らかに私よりも年下の人物たちであるが、ポイント・アンド・クリック型アドベンチャーゲームの醍醐味である「没入感のあるアートと雰囲気」「強力で魅力的なストーリーライン」「魅力的でやりがいのあるパズル」を看破している点は見過ごせない。
いかなるジャンルのゲーム作品であれ、開発者がその本質を見抜いていないと面白いゲームは誕生せず、いたずらにヒット作のうわべをなぞったような「中途半端なゲーム」が生まれていくことになる。その点NovaSoft Interactive Ltd.は最初からスタジオの信念として上記3項目を打ち立てているので、その姿勢の正しさには驚嘆するばかりだ。
日本では最近大手の企業が相次いでゲーム開発を中止する、または既存タイトルの配信サービスを終了するなどの「縮小」が巻き起こっているが、これには開発者が「ゲームの本質」を理解していない面もあるのではないかと思う。本質を正しく理解しながら作業を進めることが、ユーザーにとって面白いゲームに帰結していくはずだ。
そういった意味で本作は「本当に面白いゲームが持つ本質」を理解しているデベロッパーが生み出した「本物」のゲームであり、その内容は「圧倒的に好評」というSteamユーザー評価が物語っている。ユーザーが求める品質と内容をしっかりと把握しながら「誇れるゲーム」を生み出せるデベロッパーは今後も勝ち残っていくことだろう。
【おすすめポイント】この面白さは本物!
Aurora Hills: 第1章スペック/動作環境
動作環境 | 必須環境 | 推奨環境 |
---|---|---|
対応OS | Windows 10(64bit) | Windows 10(64bit) |
CPU | Intel Core i5-4460 | Intel Core i7-8700K |
メモリー | 8GB RAM | 16GB RAM |
グラフィックカード | NVIDIA GeForce GTX 960 | NVIDIA GeForce GTX 1070 |
VRAM | 2GB | 8GB |
HDD空き容量 | 50GB | 50GB |
DirectX | Version 11 | Version 12 |
備考 |
© 2024 by NovaSoft Interactive Ltd.
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