『The Game of Sisyphus (ゲーム・オブ・シーシュポス)』は、2024/4/12からSteamストアで正式配信されているcream gamesのPC向け高難易度アクションゲームタイトル。
ギリシャ神話の登場人物とそのエピソードになぞらえたストイックなゲームプレイと世界観、面白物理演算が働く高難易度なシステム、押し運ぶ「岩」のカラーバリエーション選択要素が大きな特徴。
プレイヤーを悶絶させる超高難易度なゲーム作品が好きな人、インディーゲームらしい発想を持つ作品を探している人、動画配信にピッタリなカジュアルアクションゲームを求めている人におすすめの新作。
- 激ムズ難易度
- 哲学的なプレイ要素
- 岩のアンロック
哲学的な辛さを体験できる新作
現在PCゲームのポータルサイト「Steam」ストアで好評配信中の『The Game of Sisyphus (ゲーム・オブ・シーシュポス)』は、ギリシャ神話の登場人物「シーシュポス」とその逸話を題材とするおすすめの新作ゲーム。
プレイヤーに課せられた使命は「岩を頂上まで運ぶこと」で、面白さ満点の物理演算が激ムズ難易度のゲームプレイを提供。一筋縄ではいかないアクションゲームが好きな人には断然ハマる必見のアクションゲームタイトルだ。
このユニークなゲームを開発・運営しているのは、韓国のソウルに拠点を構えているインディーゲームデベロッパーの「cream」で、兄弟2名という小規模なメンバー体制で面白ゲーム作品の開発を行っている。期待の新鋭だ。
cream gamesのSteamデビュー作品は2021年の「Leaf Me Alone」で、その後2024年1月には新作「Heart Attack」のデモ版をリリース。本作は彼らにとってSteamでの3作品目となるアクションゲームタイトルだ。
彼らがゲーム開発に挑んだきっかけは「多くのゲームが売上だけに気を取られ、純粋にゲームに対して感じられた感情や楽しみが失われている」というもの。インディーゲームスタジオに相応しい動機が原動力になっている。
ちなみに兄弟は自分たちのインディーゲームスタジオの公式サイトを持っているため、作風に興味を抱いた人は一度チェックしてみよう。独立系のゲームスタジオらしい開発思想と理念を持ち併せる気骨あるデベロッパーだ。
Sisyphus(シーシュポス)について
本作のゲームタイトルに用いられている「Sisyphus(シーシュポス)」はギリシャ神話に登場する人物で、この読み方以外にも「シシュポス」「シジフォス」「シシュフォス」という発音で呼ばれることもある。
徒労に終わることを意味する「シーシュポスの岩」という言葉は、神話の中でシーシュポスが神々から受けた「罰」が語源となっている言葉で、重い岩を頂上まで運ぶ労苦、そしてそれが頂上寸前で失敗することに起因している。
シーシュポスは岩を山の頂上付近まで懸命に押しながら運び続けるが、必ず頂上付近で岩が麓まで転がり落ち、再度挑戦を続けることになる。彼への罰はこの作業が未来永劫に繰り返されるという非情な内容のものだ。
ちなみにシーシュポスに関する著作で有名なものには、フランスの著名な小説家アルベール・カミュの「シーシュポスの神話」があり、カミュは同著においてシーシュポスの行為を哲学的な洞察力で「人類の営み」に例えている。
神を欺いた罰として永遠に達成できない「岩運び」を命じられたシーシュポスに、全員が「いずれは死ぬ運命」を持ちながらも生存し続ける人類の姿をカミュが重ね合わせて見出した、というのがこの書籍の大雑把な要約だ。
Steamストアのゲーム紹介文でも、カミュの著作から一節を引用している部分があり、開発者がシーシュポスについて詳しいことが見て取れる。哲学的な考察として考えるのも面白い新作インディーゲームタイトルと言えるだろう。
ストアで引用されているアルベール・カミュの一節
「The struggle itself toward the heights is enough to fill a man's heart. One must imagine Sisyphus happy. - Albert Camus”」
「ー高みを目指して奮闘すること自体が、男の心を満たしてくれる。シーシュポスの幸せな姿を想像するに違いないーアルベール・カミュ」
現在の日本で徒労に終わったことを「シーシュポスの岩のようだったね」と発言する人は非常に少ないと思われるが、ギリシャ神話由来の言葉には面白いものも多いので、日常的に使ってみると新鮮かもしれない。
ゲームの特徴
本作はこの「シーシュポスの岩」と全く同じ状況をゲーム内で体験できる作品で、永遠に同じことを繰り返しながらも達成しないという神話の内容に着想を得たインディーゲームらしいゲームシステムを持っている。
ゲームの流れ自体は単純明快。プレイヤーは「常に下に向かって重力が働いている岩」を主人公キャラクターの手で押し運びながら、頂上への到達を目指していくことになる。ただしその道程には様々な困難が待ち受けているぞ。
操作体系はキーボードとマウスに特化したもので、キーバインド各種を使いながら移動しつつ、マウスにある左右ボタンで岩を押す方向を調整していく。キーバインドが特殊な点もゲーム難易度を上げている要素と言えるだろう。
ただしゲームはXboxコントローラーでの遊べるため、普段からコントローラーを使ってゲーム作品に触れている人は、こちらで操作したほうが懸命。好きな操作体系でプレイできる点も作品の大きな魅力だぞ。
頂上へと向かっている本作のステージ内部には、スパイク、氷、かかし、爆弾、矢などの「お邪魔な仕掛け」が登場。これらにハマると一気に岩がバランスを失うことになりかねないため、細心の注意が必要になっていく。
また「岩の慣性」にも注意が必要で、障害物を避けるために急に方向転換を行うと「取り返しのつかない結果」を招くことにも繋がっていく。緊張感と集中力を強いるプレイ要素が大きな特徴のインディー系アクションゲームだ。
苦行を強いられる作風は『Getting Over It with Bennett Foddy』にも通じることがあり、最近では『A Difficult Game About Climbing』なども本作に近いノリを持っている。激ムズ系PCゲームジャンルに属する新作だぞ。
本作を楽しめる人は、何度も失敗した際に諦めてプレイを止めることなく「気持ちを切り替えて再挑戦」できる人で、忍耐力に自信がないという場合にはあまりおすすめできない。チャレンジ精神旺盛な人にも向いている作風だ。
開発陣は本作を簡単にクリアできないようにゲームバランスを調整しているため、人によってはプレイ時間もそれなりにかかる。ソロプレイ専用のタイトルではあるが、この作風はむしろ個人で遊ぶのに最適なものと言えるだろう。
岩のアンロック要素
ストイック極まるプレイ要素を持つ本作だが、1点だけお楽しみ要素が持っている。それが「岩のアンロック要素」だ。作品には岩の種類を変更できる仕組みがあり、それらはプレイ中に行うアンロックによってもたらされる。
デフォルトの岩以外に「アイアン」「ブロンズ」「銀」「ゴールド」「ビーチボール」「タイヤ」「サッカーボール」「バスケットボール」などの豊富なデザインがあり、これらはゲーム内のゴールドを利用してアンロックすることが可能。
岩の種類によって重さや空気抵抗、反発性に分かれる3種類のステータス値が異なるため、違った岩でゲームにチャレンジすることでリプレイ性もどんどん増していく仕組み。じっくり遊び倒せるお勧めのアクションゲーム作品だ。
日本語環境に対応
Steamでの販売価格は800円と1,000円を切るお手頃な値段設定になっている。現在はリリース記念セール価格となる40%OFFの480円で購入できるので(2024/4/22までの期間限定価格)、早めに作品を購入してしまうのも手だ。
ゲームは標準で日本語インターフェースと字幕をサポートしており、海外のゲーム作品が苦手な人でも安心してダウンロードできるようになっている。元々テキストは少ない作品だが、日本語環境があるのは非常に有り難い。
携帯ゲーム機「Steam Deck」との互換性については現在Valveが審査中と見られ、明確な表記が存在しない。Steamには新作ゲームが毎日のように登場しているため、審査で時間がかかることも珍しくない。今後の対応を待とう。
インディーゲームの小作品でありながら解除できるSteam実績もしっかり10種類実装されており、普段から「実績ハンター」を自負している人にも見逃せない新作ゲームタイトルと言える。実績の全解除を目指して頑張ろう。
システム要件
3Dグラフィックを全面的に用いたアクションゲーム作品のため、PC環境への要求スペックは中程度となっている。推奨要件で提示されているグラフィックボードは、NVIDIAの「GTX 1660」クラスのPCパーツだ。
CPUの推奨モデルはIntel i7-11700クラス。全体的に現行のミドルスペック帯のゲーミングPCがあれば快適なプレイができる作品と言えるかもしれないが、PCモニターの解像度が高い場合には注意が必要になるので気をつけよう。
一般的にPCモニターの解像度がフルHD以上(WQHDや4Kなど)を持っている場合、その解像度の高さに比例するようにグラフィックボードへの負担も高まっていく傾向がある。ゲーム内設定などで適宜調整していく姿勢も大切だ。
インストールサイズは8GB程度と、PCゲームとしては軽量級の部類に入る。全体的に幅広いPCゲーマーが参入できる土壌が整ったインディーゲームタイトルで、軽めの動作環境で遊びやすい作品に仕上がっていると言えるだろう。
ギリシャ神話の登場人物をモチーフとする超難解かつ不条理なプレイ内容を体験できるおすすめの新作アクションゲーム『The Game of Sisyphus (ゲーム・オブ・シーシュポス)』は、現在Steamストアで好評配信中。
記事執筆時点でのSteamユーザーレビュー28件は「好評」と順調な滑り出しを見せている。プレイ動画の実況配信にも向いている注目のインディーゲームタイトルで、一定以上の層にはかなりの人気が出る作品と言えるだろう。
数々の難関を乗り越えてゲームを征服し、大いなる達成感で満たされてみたいという人にもおすすめできる新作アクションゲームだ。興味が湧いた人は今すぐストアへアクセスして、詳細なゲーム情報をチェックしよう。
【おすすめポイント】頂上を目指して岩を運べ!
ゲームプレイの流れ
プレイがスタートすると、最初にプレイヤーが運んでいく「岩」の選択画面が登場。前述の通り岩には複数のカスタマイズバリエーションが存在するが、一番最初にアクセスできるのはオーソドックスな普通の「岩」だけだ。
実際のプレイ画面に移行する前に、静止画のローディングスクリーンが登場するが、この画面上のプログレスバーの伸び方が「異様に遅い」。すでにこの場面から開発者との「心理戦」が始まっているようで笑える演出だ。
実は実際のロード時間はそれほどかからず、最序盤で動かなかったプログレスバーは急激に伸びてプレイ画面へと移行。こうした「仕掛け」を行える点に開発者のセンスが感じられる。非常に良いところを突く仕掛けだ。
ゲームのスタートは山の麓から。ここに備えられている木製の看板に「操作体系」が記載されており、面倒なチュートリアルセクションを介すことなく操作について覚えられるようになっている。気配りの姿勢も完璧だ。
キーボードとマウスでゲームを遊ぶ場合、「WASD」が移動でShiftキーが走るモーション、スペースバーがジャンプでマウスの左右ボタンがそれぞれ岩の転がす方向の指定になっている。マウスホイールはカメラのズームだ。
ゲームプレイには時間制限がなく、プレイヤーが岩を押し始めた瞬間から挑戦が始まる仕組み。最初は操作体系と独特の物理特性に慣れるために時間を費やしていくことになるが、しっかりと感触を覚えていくと良いだろう。
麓から頂上までの道のりには様々な「仕掛け」が存在。ちょっとした操作ミスで岩が麓に向かって転げ落ちることもあるため、プレイ中は一切気を抜くことができない。操作を誤ってしまうと大変なことになるので注意が必要だ。
道中で真っ赤な色をしている「火薬樽」に岩を接触させてしまうと、爆発が発生して岩が空中へ飛行。この場合には落下地点を予測してリカバリーするプレイを行わないと、せっかく登ってきた距離が台無しになってしまう。
ちなみに岩が手を離れて遠くへと落下していった場合、プレイ画面に岩を映し出すカメラ視点がワイプで登場し、岩との距離も画面上に表示される。こういった事態はなるべく避けたいが、ある意味親切な機能と言えるだろう。
プレイ中には様々なエリアが出現し、趣向を凝らした仕掛けの数々を乗り越えていくプレイ要素を存分に味わえる。どこがゴールなのか分からないほど頂上は遠いが、到達した際に味わえる感激はひとしおのはずだ。
総評:心を折りにかかるアクションゲーム
あるゲームに対して「難しい」と人が思う場合、その思考回路へ辿り着くまでには遊ぶ人によって大きな違いが生まれることと思うが、本作の場合は100人中100人が「難しい」と感じるであろうゲームタイトルに仕上がっている。
平常時ですら操作が困難を極める岩を運搬し、非常に長い道のりを進まなくてはいけないという凶悪なゲーム性は、多くのプレイヤーを挫折へと追い込む要素に満ちている。挑戦というよりも「苦行」が待ち受ける新作だ。
唯一の救いは、本作の元ネタであるシーシュポスが「永遠に頂上へ辿り着けない」のに対し、本作にはきちんとゴールが用意され、頑張ればそこへ到達できるという点。つまり「達成感」はしっかりと味わうことができる。
生半可な気分でプレイするとストレスだけが生じる作品なので、本作は精神的に鍛錬された状態で遊ぶことを強くおすすめする。決して「息抜き」になるゲームではない、ということだけは強調させてほしい。
ギリシャ神話の登場人物をモチーフとする超難解かつ不条理な内容を体験できる新作アクションゲーム『The Game of Sisyphus (ゲーム・オブ・シーシュポス)』は、現在Steamストアで好評配信中。
一切の邪念を捨て去った心境で「神のような手さばき」を生み出した際、初めてゴールへの道程が見えるかもしれないという圧巻のインディーゲーム作品だ。今すぐストアでゲーム情報をチェックしてみよう。
【おすすめポイント】根気よく遊べる人向けの新作!
ゲーム・オブ・シーシュポススペック/動作環境
動作環境 | 必須環境 | 推奨環境 |
---|---|---|
対応OS | Windows 10(64bit) | Windows 10(64bit) |
CPU | Intel Core i5-6600K | Intel Core i7-8700K |
メモリー | 8GB | 16GB |
グラフィックカード | NVIDIA GeForce GTX 970 | NVIDIA GeForce RTX 2070 |
VRAM | 4GB | 8GB |
HDD空き容量 | 50GB | 50GB |
DirectX | DirectX 12 | DirectX 12 |
備考 |
(C) cream games.
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