ノスタルジックな雰囲気のシナリオとイラストが絶品!
Wiseye Studioが2022/8/19にサービスを開始したリズムゲームスマホアプリ。6本のレーンに流れてくるノーツをリズムよくさばいてフルコンボとハイスコアをめざそう。
高難易度ではレーンの回転や演出の追加といったギミックが発動。新鮮な臨場感を味わいながらプレイできるリズムゲームだ。
注目は懐かしくも寂しさをただよわせるシナリオ。人類が滅亡した遠い未来に残された無人宇宙船を舞台とした、遠い過去の観察が始まる。リズムゲームで入手した記憶のカギを使って無人宇宙船のシステムを解放し、かつていた人類の記憶を覗きこもう。
「なぜ人類は滅んだのか?」もうだれもいなくなってしまった宇宙で、その謎を追うのはキミ自身だ。記憶アイテムを利用した、ちょっとした謎解き要素も楽しめるぞ。
雰囲気ゲーに魅力を感じる人、斬新なリズムゲームを遊びたい人におすすめ。
滅んだ人類の記憶を探るノスタルジックSFストーリー
人類の文明が崩壊した世界を描く終末モノといえば、ゲームや映画で人気の定番ジャンルである。災害や戦争を理由に滅びかけた人類の闘いや、ボロボロに朽ち果てた廃墟は終末モノならではの趣だ。実際に好きな読者もいるだろう。
しかし、終末モノの中でも人類が完全に滅亡した未来を描く作品は比較的少ない。人間が消えさった世界とは、果たしてどのような景色が広がっているのだろうか。
2022/8/19にリリースされた本作『Hexa Hysteria(ヘキサヒストリア)』は、人類が滅んだ「その後」を舞台としたリズムゲームスマホアプリだ。開発は新進気鋭のゲーム開発会社Wiseye Studioがおこなう。
プレイヤーは、リズムゲームをプレイして得た記憶のカギを使って、人類がかつて歩んだ過去の記憶をたどっていく。リズムゲームでありながらストーリー性が色濃く、シナリオアドベンチャーゲームとして十分なクオリティを誇っているぞ。
時代設定は、私たちが生きている現実からは考えられないほど遠い未来だ。
生命体の存在しない宇宙には、自動システムにより運航をつづけている無人宇宙船が1隻。その宇宙船のメインシステムにログインしたユーザーこそがプレイヤー自身である。
プレイヤーがシステムを通して探っていく人類の記憶とは、一見すると変哲もない人々の日常だ。
「なぜ人類のデータが宇宙船に残っているのか?」
「なぜ自分はこの宇宙船にアクセスしているのか?」
そういったさまざまな謎を抱きながらも、在りし日の人類の姿を垣間見ていくノスタルジックな物語に没入できるぞ。
ここからは、さらに本作の世界を掘り下げてご紹介しよう。
暗闇と星に包まれた宇宙を、乗組員不在の宇宙船が征く。
高度な人工知能を搭載したその無人宇宙船が、どれだけの時間と距離を航行してきたのか。なぜ孤独な旅を続けているのか。だれにもわからない。
ただ、その宇宙船を造った種族はハッキリしている。その名は人類。気が遠くなるほど古い時代、地球と呼ばれる惑星に住んでいた知的生命体だ。
人類はすでに絶滅しており、いまでは無人宇宙船に眠る記憶の核に在りし日のデータが残されているだけだ。
「メインシステムスリープ中・再起動開始……」
そんな無人宇宙船にログインを試みるのがプレイヤーであるあなただ。メインシステムの98%を破損した宇宙船だったが、修復モジュールにより復元を成功。しかし、記憶の核に障害が発生したらしい。
あなたは記憶の核を修復しながら、かすかに残る人類の日々のカケラを集めていく。最初に覗くのは、とある父娘の墓参り。
どうして人類はいなくなったのか。
なぜ人類はこの宇宙船を旅立たせたのか。
あなたは、なぜ滅んだ種族の過去を探るのか。
言葉にならない郷愁の念が胸を打つ、切ない記憶の探訪が始まる。
エモさ全開。セピアで雰囲気◎なイラストの数々
はるか昔に滅びさった人類の過去を追いかけていく本作。そのどことなく寂しげな作風を存分に引き立たせるのが、味のある独特なイラストである。
これについては言葉で語るより実際に見てもらった方がいいだろう。
▲平凡な父娘の何気ない朝のワンシーン
▲母親の墓参りに出かける父娘
これらの画像は、メインストーリー第1章を飾るアバンイラストである。初めて見たはずのイラストでありながら、不思議な懐かしさと胸を締めつけるような感慨を抱いた人もいるのではないだろうか。
水彩画に近い画風、実写にもアニメにも寄りすぎない絶妙なキャラクターデザイン、そして「この絵に描かれている人たちは遠い昔に死んでいる」という設定。それらすべてが見事に折り重なり、印象的なイラストに仕上がっているぞ。
本作に登場するイラストのクオリティたるや「美しくも儚いイラストを見るためだけに本作をプレイする価値がある」と断言できるほどの良作揃いだ。
セピア調のゲームイラストが好きな人はぜひ自分のスマホで見てみてほしい。
▲墓参りする父と娘
これらのイラストは人類の過去を覗くシナリオとの調和もとれており、本作の世界観の要にもなっている。そのおかげか、いわゆる「雰囲気ゲー」として非常に優れた完成度を誇っているのが本作最大の魅力だ。
同じリズムゲームで例えるならば、「DEEMO」に近いといえる。雰囲気の良いSFゲームに目がないなら、絶対に見逃せないタイトル。それが『Hexa Hysteria』だ。
6本レーンが回って光る!新感覚のリズムゲームを極めよう
本作の大きな見所はシナリオやイラストだけではない。リズムゲーマーのツボを的確に突いてくる、新鮮みのあるリズムゲームも本作に欠かせないメインコンテンツである。
『Hexa Hysteria』でメインシナリオを解放するには、記憶のカギと呼ばれるアイテムを集めなくてはならない。記憶のカギの入手方法は、ストーリーの各エピソードに1つずつ用意されているリズムゲームのクリアのみ。
気になるメインストーリーを読み進めるためにも、リズムゲーム攻略は必要不可欠なのだ。
リズムゲームのルールは、レーンから流れてくるノーツをBGMに合わせてタップし、スコアを稼いでいくオーソドックスなものだ。
使用される楽曲は本作だけのオリジナル楽曲であり、世界観にあわせた情緒のある静かなリズムのミュージックが多い。課金すればスペシャルな楽曲も遊べるぞ。
本作ならではの特徴としては、レーンが6本ある点が挙げられる。円を形作るように設置された6本のレーンそれぞれにノーツが流れこんでくるので、画面全体に注意を向ける必要があるぞ。
ノーツにもさまざまな種類があり、ただタップする以外にも
- 次のノーツが来るまで押しっぱなしにする
- ひたすらに連打
- 指示された方向にフリック
といったアクションが要求される。音ゲーとしては定番の動きではあるが、レーンが6本もあるせいか実際にやってみると慣れるまで苦労しがちだ。シナリオ重視のゲームと油断しないように。
高難易度ではレーンに変化が現れ、回転したり光ったりといった多彩な演出がプレイヤーに襲いかかるぞ。
とくに回転はかなり厄介だ。たとえば、曲が盛りあがりノーツが大量に降ってくるタイミングで回転すると、連打しながら指をレーンの移動に合わせて少しずつズラさなくてはならない。
基準となるレーンが動くのも気が散りやすく、ミスの確率がぐっと上がってしまうのだ。
筆者の感覚ではあるが、親指だけでノーツをさばくスマホ横持ちプレイではかなり難しい。可能ならばスマホを机に置きながらのプレイをおすすめする。
このように6本のレーンを活かした、ユニークかつ歯ごたえのあるリズムゲームに熱中できるのも本作のいいところだ。既存の音ゲーとはちょっと違うゲームを遊びたい人にぴったりといえるだろう。
「難しすぎるリズムゲームは苦手」
「シナリオだけ楽しみたい」
そんな人も安心してほしい。難易度EASYまでならレーンは固定のままであり、ノーツも少ないので初心者でもクリアをめざせるぞ。また、EASYでも記憶のカギはちゃんとゲットできるのがポイント。
何度もくり返しプレイすれば、リズムゲームが苦手な人でもメインストーリーを問題なく楽しめるだろう。オプションモードではリズムゲームの設定を細かく調整できるので、場合によってはこちらを利用するのも手だ。
リズムゲームのヘビーユーザーからライトゲーマーまで幅広くエンジョイできる設計なので、気になったら臆せずチャレンジしてみてほしい。
記憶アイテムを使った謎解き要素も
リズムゲームで入手する記憶のカギは、シナリオの解放だけでなく記憶アイテムの購入にも使える。記憶アイテムはシナリオに応じて解放され、ラインナップは「チョコレートクッキー」「中学校のカバン」など。
人類が滅亡した前提をふまえると、なかなか考えさせられるチョイスである。
記憶アイテムは基本的にはコレクションアイテムだが、時にはストーリーの進行を助ける大事なキーアイテムにもなる。
たとえば、上画像にもある1章の最終話を解放するには、とある暗号を解かなくてはならない。本作ではこういった謎解きが随所にあり、その突破口となりうるのが記憶アイテムなのだ。
謎はそこまで難しくないものが多い。推理モノが好きな人はぜひチャレンジしてみよう。
滅亡した人類の過去を、遠い未来に垣間見る。そんなロマンと哀愁が満ちたノスタルジックSFを存分に満喫できる本作。
特筆すべきはなんといっても作品全体にただよう独特な雰囲気だろう。シナリオもイラストも高いレベルでかみ合っており、プレイヤーは遊んでいくにつれ言葉にできない感動に胸が包まれるはずだ。
リズムゲームとしてのクオリティも見事のひと言。多くのギミックで音ゲーに慣れたユーザーも満足できる難易度を実現しており、一方で初心者救済となるEASYモードを用意しているのがありがたい。だれでも気兼ねなく遊べるスマホゲームだ。
ここまでで興味がわいた人は、『Hexa Hysteria』ですこし不思議でとても切ない人類探訪の旅に出かけてみてはいかがだろうか。
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